Buster Bros!!!
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。*゚+──チャイムと蝉の午後十二時
じりじりと私達を照らす太陽。今日は午前で授業が終わった為、一番暑い時間帯の帰宅である。嬉しい反面、地味にきつい。
私の隣をゆっくり歩く二郎も、暑いと嘆いている。長めの襟足をヘアゴムでまとめていた。
「こんだけ暑かったらさ、もう夏休み入っても良くねぇ?」
「まだ一週間あるね」
自然と、お互いの足がコンビニの前で止まる。
「アイス買おうぜ、アイス」
「良いね。二郎、今日返って来た数学のテスト、何点だった? 下だった方が奢りね」
コンビニを指差す二郎に、私は勝負を挑んだ。二郎は自信に溢れた表情を見せる。
「聞いて驚け、十二点だ!」
「ある意味驚く点数ね。まぁ、二郎にしては頑張った方じゃない?」
笑いながらそう返すと、二郎は不満そうな顔をした。
「そこまで言うなら、黒椿は何点だったんだよ」
「ふふん、十三点!」
「たったの一点差じゃねーか! 黒椿だって、別に威張れる点数じゃねーよ」
「サッカーだと、この一点差はすごく大きいよ」
そんな屁理屈を言い返すも、二郎は腕を組んで「確かにな」と呟いた。
「仕方ねぇ、アイスは俺の奢りだ。暑いし早く中入ろうぜ」
自動ドアを越えると、涼しい空気が身体を包んだ。私達は冷凍庫へ向かいアイスを選ぶ。
二郎は定番のソーダアイス、私は商品名に「プレミアム」と付いた高めのものを手に取った。
「げーっ! 容赦ねぇな」
「予習復習を欠かさない事だね、山田くん」
「うっせぇ、十三点」
店を出ると、再び蒸した空気が身を包む。日陰となるコンビニの軒下で、早速アイスの袋を開け口に含んだ。
「ん〜、プレミアムな味」
「ちゃんと味わって食えよ」
シャクッと爽快な音を立てて、二郎もソーダアイスをかじる。
「二郎のアイスも美味しそう。一口ちょうだい」
「はぁ!? いや、馬鹿かよ」
ふいっ、とそっぽを向かれてしまった。
「私のも一口あげるからさ」
「そういう問題じゃねぇ」
どういう問題なのか全く分からず、二郎の襟足を見詰める。
「その、さ、…………だろ」
「え? ごめん、聞こえなかった。もっかい言って」
街の雑踏に掻き消された言葉を聞き返すと、二郎がこちらに顔を向けて叫んだ。耳が赤い。
「だから! 間接キス! ……に、なんだろ!」
「キ……」
意識した途端、ぶわっと身体が熱くなる。二郎の目が見れなくなった。
「ごめん、相手が二郎だから、つい」
「それも反則じゃね……」
「えーっと、一口ちょうだいっての、やっぱ無し! ね!」
お互い顔を赤くして、沈黙。火照りを鎮めるように、私はそっとアイスを舐めた。
尚も続く静かな空気が気まずくなり、話題を変える事にする。
「来週から夏休みだけどさ、二郎は何か予定とかあるの?」
「ダチとサッカーとか、萬屋 の仕事の手伝いとか」
「宿題は計画的に片付けないと駄目だよ」
調子が戻って来た。私は笑いながらそんな軽口を叩く。
しかし、二郎の顔は赤いままだ。
「宿題さ、一緒にやろうぜ。分かんないとこ、教え合ったりした方が、早く片付くだろ」
「教え合うって、二郎が教えられるのある?」
「そりゃ、体育とか?」
「体育って、宿題出るのかなぁ」
「あと」
「あと?」
二郎の顔を見詰める。二郎は私と目が合うと、視線を泳がせそのまま目を背けた。
「黒椿と一緒に、夏祭りとかも、行きたい」
二郎は言い終えると、一瞬だけこちらを見る。が、すぐに逸らされた。
「良いね。花火大会も行きたいし、コンビニで花火買ってやるのも楽しそうだよね。プールとか、図書館も行こ。読書感想文、出るだろうし」
二郎と夏休みにやりたい事が、どんどん出て来る。それを伝えると、二郎は目を輝かせた。
「だな! 映画も観てぇし、黒椿も好きな、あのアニメのイベントもやるみてぇだし。やべぇ、夏休みめちゃくちゃ楽しみになって来た!」
お互い、緊張感がとけて来た。
恐らくあっという間にやって来るだろう夏休みに、思いを馳せる。
しかし、忘れてはならない事がひとつだけあった。
「夏休みの前に、数学の再テスト、勉強しなきゃだよね」
赤点である私達は、再テストを受けなければならない。これに落ちると、夏休み中は補習に参加しなければならないのだ。
「……んじゃ、駅前んとこのハンバーガーショップ行くか。腹も減ってるし」
「うん、賛成」
アイスを食べ終え、涼しい軒下から一歩踏み出し次の目的地へ向かう。
暑いけど、隣を歩く二郎に、少しだけくっ付いてみた。
─ END ─
【あとがき】
タイトルは「腹を空かせた夢喰い」様よりお借りしました。
2026/08/03
じりじりと私達を照らす太陽。今日は午前で授業が終わった為、一番暑い時間帯の帰宅である。嬉しい反面、地味にきつい。
私の隣をゆっくり歩く二郎も、暑いと嘆いている。長めの襟足をヘアゴムでまとめていた。
「こんだけ暑かったらさ、もう夏休み入っても良くねぇ?」
「まだ一週間あるね」
自然と、お互いの足がコンビニの前で止まる。
「アイス買おうぜ、アイス」
「良いね。二郎、今日返って来た数学のテスト、何点だった? 下だった方が奢りね」
コンビニを指差す二郎に、私は勝負を挑んだ。二郎は自信に溢れた表情を見せる。
「聞いて驚け、十二点だ!」
「ある意味驚く点数ね。まぁ、二郎にしては頑張った方じゃない?」
笑いながらそう返すと、二郎は不満そうな顔をした。
「そこまで言うなら、黒椿は何点だったんだよ」
「ふふん、十三点!」
「たったの一点差じゃねーか! 黒椿だって、別に威張れる点数じゃねーよ」
「サッカーだと、この一点差はすごく大きいよ」
そんな屁理屈を言い返すも、二郎は腕を組んで「確かにな」と呟いた。
「仕方ねぇ、アイスは俺の奢りだ。暑いし早く中入ろうぜ」
自動ドアを越えると、涼しい空気が身体を包んだ。私達は冷凍庫へ向かいアイスを選ぶ。
二郎は定番のソーダアイス、私は商品名に「プレミアム」と付いた高めのものを手に取った。
「げーっ! 容赦ねぇな」
「予習復習を欠かさない事だね、山田くん」
「うっせぇ、十三点」
店を出ると、再び蒸した空気が身を包む。日陰となるコンビニの軒下で、早速アイスの袋を開け口に含んだ。
「ん〜、プレミアムな味」
「ちゃんと味わって食えよ」
シャクッと爽快な音を立てて、二郎もソーダアイスをかじる。
「二郎のアイスも美味しそう。一口ちょうだい」
「はぁ!? いや、馬鹿かよ」
ふいっ、とそっぽを向かれてしまった。
「私のも一口あげるからさ」
「そういう問題じゃねぇ」
どういう問題なのか全く分からず、二郎の襟足を見詰める。
「その、さ、…………だろ」
「え? ごめん、聞こえなかった。もっかい言って」
街の雑踏に掻き消された言葉を聞き返すと、二郎がこちらに顔を向けて叫んだ。耳が赤い。
「だから! 間接キス! ……に、なんだろ!」
「キ……」
意識した途端、ぶわっと身体が熱くなる。二郎の目が見れなくなった。
「ごめん、相手が二郎だから、つい」
「それも反則じゃね……」
「えーっと、一口ちょうだいっての、やっぱ無し! ね!」
お互い顔を赤くして、沈黙。火照りを鎮めるように、私はそっとアイスを舐めた。
尚も続く静かな空気が気まずくなり、話題を変える事にする。
「来週から夏休みだけどさ、二郎は何か予定とかあるの?」
「ダチとサッカーとか、
「宿題は計画的に片付けないと駄目だよ」
調子が戻って来た。私は笑いながらそんな軽口を叩く。
しかし、二郎の顔は赤いままだ。
「宿題さ、一緒にやろうぜ。分かんないとこ、教え合ったりした方が、早く片付くだろ」
「教え合うって、二郎が教えられるのある?」
「そりゃ、体育とか?」
「体育って、宿題出るのかなぁ」
「あと」
「あと?」
二郎の顔を見詰める。二郎は私と目が合うと、視線を泳がせそのまま目を背けた。
「黒椿と一緒に、夏祭りとかも、行きたい」
二郎は言い終えると、一瞬だけこちらを見る。が、すぐに逸らされた。
「良いね。花火大会も行きたいし、コンビニで花火買ってやるのも楽しそうだよね。プールとか、図書館も行こ。読書感想文、出るだろうし」
二郎と夏休みにやりたい事が、どんどん出て来る。それを伝えると、二郎は目を輝かせた。
「だな! 映画も観てぇし、黒椿も好きな、あのアニメのイベントもやるみてぇだし。やべぇ、夏休みめちゃくちゃ楽しみになって来た!」
お互い、緊張感がとけて来た。
恐らくあっという間にやって来るだろう夏休みに、思いを馳せる。
しかし、忘れてはならない事がひとつだけあった。
「夏休みの前に、数学の再テスト、勉強しなきゃだよね」
赤点である私達は、再テストを受けなければならない。これに落ちると、夏休み中は補習に参加しなければならないのだ。
「……んじゃ、駅前んとこのハンバーガーショップ行くか。腹も減ってるし」
「うん、賛成」
アイスを食べ終え、涼しい軒下から一歩踏み出し次の目的地へ向かう。
暑いけど、隣を歩く二郎に、少しだけくっ付いてみた。
─ END ─
【あとがき】
タイトルは「腹を空かせた夢喰い」様よりお借りしました。
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