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ヴァレッタ…ふう、…めっちゃ山……疲れたぁ…
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ヴァレッタこんな所に住んでんのか?あの変わりもん……
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ジェイドええ。その変わり者に会いにわざわざこんな所まで来るなんて、あなたも相当な変わり者です
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ヴァレッタ!
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ヴァレッタ……変わりもんのくせに変わってないな。相変わらず変わりもんだ
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ジェイドふふっ
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ジェイド………久しぶりですね
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ヴァレッタああ
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ジェイド………待ちくたびれましたよ
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ヴァレッタ………ごめん
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ジェイド本当に…待っていました。…何も変わらずに
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ヴァレッタ変わって…ないのか
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ジェイドはい…何も
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ヴァレッタ…そうか
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ヴァレッタ………好きでいてくれて、ありがとう
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ジェイドおやおや…これはまたらしくない事を
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ジェイド……抱き締めても?
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ヴァレッタ………うん
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…ギュッ、
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ジェイド………おかえりなさい
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ヴァレッタ………ただいま
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─────
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ヴァレッタ…見渡す限りめっちゃ山だな…
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ジェイド山ですからね
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ジェイドところで…突然来ましたが僕に妻子がいたらどうしていたんですか?
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ヴァレッタ挨拶して帰るよ。そんな事もあろうかとこんな形で来たんだし
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ジェイド一見するとどちらか分かりませんが…
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ヴァレッタで、妻子はいるの?
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ジェイド……さぁ、ふふ。どうでしょう
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ヴァレッタ………山にはとっくに飽きていると思ったけど
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ジェイドええ、再燃しました。ふと思い出しまして。あなたと愛し合った時の約束を
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ヴァレッタあ、愛し……?
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ジェイド学生時代にいずれは山で自給自足の生活を一緒に……、覚えていませんか?
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ヴァレッタ………
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ジェイド将来を誓い合ったのに、あなたは僕を捨てて王子様と結婚してしまいましたね
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ヴァレッタ……………
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ジェイドそれでもずっとあなたを想っていました
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ヴァレッタ………待たせたな
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ジェイド………。頭を撫でられたのは久しぶりです。…あなたに撫でられたのが最後ですから
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ヴァレッタええ?お前ずっと一人でいたの?恋人は?
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ジェイド何人かとお付き合いしましたよ。でも頭を撫でられた事はありませんでしたね
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ヴァレッタへー何でだろ
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ジェイド絶対に嫌な事リストに入れていましたので
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ヴァレッタ何そのリストめんどくさ
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ジェイド付き合う時に提示するものです
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ヴァレッタめんどくさ。なんで入れたの?別に嫌じゃないだろ?
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ジェイド嫌ですよ。あなた以外は
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ヴァレッタ………へー…何でだろ
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ジェイド何ででしょうね
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ヴァレッタ………。………どんな人と付き合ったの?
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ジェイド色々な人です。女性とも男性とも付き合いましたが長くは続きませんでした
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ヴァレッタなんで?
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ジェイドどうにも退屈で…。…満足させてくれる人はいなかったので
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ヴァレッタ満足ねぇ…理想高いんじゃない?
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ジェイド高いのではなく決まっているんです
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ヴァレッタ決まってるって君…
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ジェイド中にはいい人もいました。でもどこか違うんです。どんなにいい性格の人も、どんなに話が合う人も、どんなに見た目が好みでも…どうしても違う。当然ですね
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ジェイドあの方達は、あなたではないですから
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ヴァレッタ…………
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ジェイド僕は…あなたが好きなんです。…ずっと、あなただけを、愛しています
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ヴァレッタ………
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ヴァレッタ………、私は………、
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ヴァレッタ私はきっともうつまんねぇ奴だよ。100年も……ただの女として生きたんだから
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ジェイド……確かめてもいいですか?
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ヴァレッタどうやって?
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ジェイド僕と…一緒にいてください
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ヴァレッタ妻子がいるだろう?
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ジェイドいないと分かっているくせに
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ヴァレッタさっき濁したから
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ジェイド意地悪
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ヴァレッタ僕の知る中で最も意地の悪い奴に意地悪って言われた…
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ジェイド一緒に生きてください。これから先…死ぬまで、僕と一緒に
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ヴァレッタ……んーどうしようかなぁ
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ジェイド…100年も大人しく待っていた僕にご褒美は?
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ヴァレッタ一緒にいる事がご褒美になるの?
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ジェイドこれ以上ないほどの
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ヴァレッタ…そう。じゃあ、いいよ
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ジェイド………
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『なんでそんなに、僕なんかの事が……い、意味分かんねぇ……』
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ジェイド(変わりましたね。誰からも愛されるはずがないと思って卑屈になっていた頃よりも……)
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ジェイド……いい顔です
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ヴァレッタ顔?
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ジェイド(きっと誰よりも愛されたから、自身が愛されるべき存在であると気が付いたのでしょう。…それは、僕ではダメだった。彼だったから気付かせる事ができたんでしょうね。悔しいですが……彼には感謝しなくては……)
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これから100年、君と共に。
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ジェイドの100年の片想いと実ってからの100年。
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