ヴァレッタ！

なんだ、珍しいな。君がそんな大きな声で呼び止めるなんて

驚かせたならすまない。その…話がある。放課後、時間をもらえないだろうか

いいけど…今じゃダメなのか？

今…は、………、

………おや、僕が邪魔ですか？

いや、邪魔ではないのだが…

こうあからさまに邪険にされると、どのような話なのか気になってしまいますね

気にするな。お前には関係のない話だ

仲間はずれなんて寂しいですね…しくしく

元から仲間じゃねぇよ

同じ学園に通う同学年の友人同士でしょう。仲間と呼ばず何と呼ぶんです？

シルバー…君ってジェイドの友人だったの？

ジェイドがそう言うならそうなのだろう

えー…そうかな？

友人たちが何を話すのか気になるあまり、偶然居合わせ話の内容が聞こえてしまうかもしれませんね

尾けて盗み聞きする宣言すな。もう、どっか行けよ

おや？一人で買い出しに行ってくれるんですか？ですがこのリストの量を一人で持ち帰るのはさすがのあなたでも……いえ、本来腕が10本もありその腕力も並々ならぬもの。今は2本だとしても10本分の力を発揮できるとしたら余裕でしょうか

うるせぇな。なんかいっぱい色々言うのやめろ

一人で行くのなら手伝おう。荷物持ちなら任せろ

ん、さんきゅ。じゃあ、はい

………はい？

買い物リストよこせよ。シルバーと行ってくるから君は先に戻ってろ

……………

酷いですね。あなたは僕を"面倒な仕事を他人に押し付ける自己中心的で責任感のない副寮長"にしたいんですか？

あん？

一度請け負った仕事を途中で投げ出すような事は致しません。アズールに怒られてしまいますからね

いや、アズールならより効率的な方を取るだろ。君に頼みたい仕事なら他にもあるだろうし、そんな事で怒ったりはしないよ

さ、無駄話はここまでです。買い物を済ませてしまいましょう。行きますよ。さあ、さあ。ではシルバーさん、また放課後に

あ、ああ…

いや話の流れ…ぶった切んなしお前は放課後約束してないし引っ張んなし……あーもう！

シルバー、後で連絡する

分かった

来たよー

ヴァレッタ…一人か。ジェイドはどうした

知んねぇ。部活じゃね？なんで？

昼の様子だと一緒に来るものだと……

いた方が良かったの？

いや…

いない方がいいんだろ？

…いや…

どっちだよ

………

で、話って何？

ああ、その…

うん

………

……ん？

………ふぅ、………、

え？なに…深刻な話？

まさかロイヤルソードに編入…とか！？でもそれを何故僕に…

実は……

お、おう…何だ

実は、お前と…共に行きたい場所がある

………ロイヤルソードには行かないぞ…いけ好かん奴らの巣窟だ…

？ いや…その、………旅行に…一緒に行かないか？

え、旅行？ああ、うん…

いいのか？

いいけど……え、話ってそれ？

ああ、そうだ

んん？そんな事ならすぐに言えよ…なんで昼に言わなかったの？

それは……ジェイドがいるのに二人で旅行に行こうとは言えないだろう

なんで？

何で……、……何で………

悩んじゃった……まぁ、そうか。一緒に行くとか言いそうでダルいもんな

ダルい…とは思わないが…

でも一緒に行ってほしくないんだろ？

それは……

なんだよ、はっきり言えよ

………前に、君は私と二人でいたいのか、と聞いただろう

ん？聞いたかも

考えたんだが……おそらく、そうだと思う

ふーん……何で？

何で……かは、分からないが……

お前と二人で話がしたい。同じものを見て感じて、感想を語らい同じ時間を共有したいと思っている

ふーん………なんか……、

まるで、私の事が好きみたいだね

お前のことは……好きだ、すごく

すごく！？えっ……あ、そう……え、なんでだろ……

でも…そうなのか…、…好きだから一緒にいたいんだな！

ああ、そうだと思う

へぇ～！へへ、シルバーに告白されちゃった〜

………嫌だろうか

全然！あはっ、ギューってしようかな〜

ギュー…？

両手広げて

……こうか？

うん、ぎゅううう〜っ！

っ……………、

………抱き締め返してもいーよ？

……………

………シルバー？寝たの？

……………いや、起きている

どしたん

分からない…

ふーん……あったかいねぇ

…あ、ああ…そうだな………

……………

……………