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ヴァレッタ
………何これ?
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アズール
ああ、ヴァレッタ。お疲れ様です
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フロイド
お疲れ~
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ヴァレッタ
お疲れ……で、その荷物なに?
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アズール
レオナさんからの差し入れです
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ヴァレッタ
差し入れ?
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アズール
ええ。後になって対価を要求されてはたまりませんから丁重にお断りしたのですが
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アズール
これは全てあなたに、だそうです
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フロイド
頑張って働く嫁に旦那が差し入れをするのは至って普通の事なんだってー
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ヴァレッタ
ええ?……うわ、すっげ!超高ぇやつじゃんコレ!
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フロイド
美味そ~でも多すぎじゃね?タコちゃんこれ一人で食ったらタコじゃなくて豚になるって
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アズール
ラウンジスタッフ全員に配っても余る量だ。モストロ・ラウンジへの差し入れのつもりでしょう
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フロイド
でもヴァレッタにって言ったんでしょ?
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ヴァレッタ
そう言わなきゃアズールが受け取りを拒否すると思ったのかもね
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フロイド
で、どうすんの?
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ヴァレッタ
もちろん全員に配るさ。私の旦那さまからの差し入れだと言ってね
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フロイド
ラブラブだねぇ~
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アズール
………
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ヴァレッタ
アズール、気にせず受け取りなよ。対価を払うのはどうせ私だ
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アズール
…嫌な事を無理強いさせられたりなんてしませんよね
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ヴァレッタ
それは大丈夫。なんて言うか…まぁ、…仲良いから。わりと
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アズール
…それを聞けて安心しました。では遠慮なく。こんな高級品は滅多に味わえませんから。ありがたく頂くとしましょう
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フロイド
わぁーい
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─────
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レオナ
…よォ、ヴァレッタ。おかえり。今日もこんな時間までご苦労なこったな
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ヴァレッタ
ただいま
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…ちゅ、
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レオナ
………
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ヴァレッタ
差し入れなんて急にどうしたの?
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レオナ
………たまには嫁の顔を立ててやらなきゃな?
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ヴァレッタ
ふふ、ありがと。みんな喜んでたよ
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ヴァレッタ
あんたが気を回してくれたのに私がお礼を言われてさ、気分が良かった
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ヴァレッタ
何より良い餌が貰えると集ってくる小魚を使えて便利♡
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レオナ
相変わらず良い性格だな。じゃあ対価を貰おうか
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ヴァレッタ
何が欲しいの?
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レオナ
分かるだろ?
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ヴァレッタ
…ふふ、
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──────
────
── -
暁光の街
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ヴァレッタ
枯れない恵み(オアシス・メイカー)
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レオナ
!
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「!! 雨だ!」
「レオナ様が雨乞いに成功したぞ!」
「偶然では?」
「何でもいい!ありがたい!!」
「水だ!!」
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レオナ
………
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レオナ
………お前…どんな手を…
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ヴァレッタ
ふふ。天の女神に愛された第二王子、って記事を書かせなきゃね
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レオナ
…何が望みだ?
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ヴァレッタ
ないよ。旦那を立てるのが嫁の役目だろう?
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レオナ
………
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ヴァレッタ
惚れた?
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レオナ
…ちょっとな
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ヴァレッタ
あはっ。あ、熱砂の国の宴に呼ばれてる。一緒に行ってもらうよ
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レオナ
あ?
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ヴァレッタ
一週間連続の盛大な宴だそうだ
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レオナ
はあ?
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ヴァレッタ
お人好しは契約を取り付けやすくて助かるよ
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後日、アジーム家のご子息と親しげに宴を楽しむ様子から"第二王子妃殿下によって夕焼けの草原の王族と熱砂の国の大富豪は良好な交友関係を築いている"という記事が書かれた。
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