-
シルバー
…すー、すー…
-
ヴァレッタ
いた…寝とるわ
-
ヴァレッタ
ねぇ起きて。リリアちゃんが呼んでる
-
シルバー
ん…
-
ヴァレッタ
…っ、ぐ、…綺麗な寝顔…うぅ…
-
シルバー
………?
-
ヴァレッタ
あ、起きた…
-
シルバー
………寝覚めが悪い…
-
ヴァレッタ
なっ…わ、悪かったな!どうせ私の顔は…君と違って美しくない…
-
シルバー
…?…いや、違う…確かに君の顔を見て言ったがそうじゃない
-
ヴァレッタ
何が違うんだよ…ぅぅ…
-
シルバー
それだ…その顔…。泣き出しそうな顔を見たからだ。…何かあったのか?
-
ヴァレッタ
お前のせいだ!
-
シルバー
そ…そう、なのか……すまない。そうだ…これを…
-
ヴァレッタ
何…?
-
シルバー
宝石だ。錬金術の授業で出来た
-
ヴァレッタ
…そのくらい私だって作れる!バカにするな!
-
シルバー
…そうか…いらないか…
-
ヴァレッタ
え?くれるの?
-
シルバー
ああ…君に渡そうと思って持っていたんだが…無理に押付けるつもりはない
-
ヴァレッタ
…見せびらかしたんじゃないのか…
-
シルバー
え?
-
ヴァレッタ
自慢したのかと思った。私を見下したのかと…
-
シルバー
………そう思わせる要因が俺にあったという事か…。…すまなかった
-
ヴァレッタ
いや…私が悪い。勘違いした。ごめん
-
シルバー
…俺はバカにしたり見下したりしない。…信じてくれ
-
ヴァレッタ
ま…眩しい…
-
シルバー
眩しい…?
-
ヴァレッタ
君と目を合わせるのが苦手だ…
-
シルバー
そうか…気を付ける…
-
シルバー
…俺は父に、おなごには優しく。と言われている
-
ヴァレッタ
あなご?
-
シルバー
おなご。女性の事だ
-
ヴァレッタ
おなご…
-
シルバー
君を傷付けるつもりがない事だけは理解してくれ
-
ヴァレッタ
う、うん…
-
シルバー
だから出来れば…俺と親しくなってほしい
-
ヴァレッタ
う、うん…?
-
シルバー
父もそれを望んでいるはずだ…
-
ヴァレッタ
父…
-
シルバー
宝石は…いるか?
-
ヴァレッタ
…貰えるもんは貰っとく
-
シルバー
ならこれを
-
ヴァレッタ
ああ……ありがとう
-
ちょっと仲良くなった。
-
後日
-
ヴァレッタ
うっわ!こんな所で寝てんな!起きろ!
-
シルバー
っ…!…す、すまない…ついウトウトと…
-
ヴァレッタ
爆睡だったが!?
-
ヴァレッタ
もう〜危ないな!蹴り殺されても文句言えないぞ!
-
シルバー
ああ…気を付ける
-
ヴァレッタ
(ぐぅぅ〜〜〜)
-
シルバー
っ何だ!今の音…魔獣の鳴き声か!?ヴァレッタ!俺から離れるな!
-
ヴァレッタ
何それボケ?私の腹の音だが
-
シルバー
腹の音…?
-
ヴァレッタ
お腹すいた
-
シルバー
ああ…そうか…なら食堂に行こう。そういえば俺も昼飯をまだとっていなかった
-
ヴァレッタ
一緒に食べる?
-
シルバー
そうさせてもらおう
-
───
-
ヴァレッタ
またキノコのリゾットか
-
シルバー
また?
-
ヴァレッタ
こないだも食ってたよな?
-
シルバー
こないだ…
-
ヴァレッタ
リリアちゃんと食ってただろ
-
シルバー
ああ…リリア先輩と話していた時に見たのか…すごい記憶力だ
-
ヴァレッタ
たまたま……キノコだなって思って……
-
ヴァレッタ
好きなの?
-
シルバー
キノコのリゾットは昔からよく食っている。…そういえばここ最近のキノコはひと味違う。すごく美味い
-
ヴァレッタ
良かったな!言っとくよ!
-
シルバー
言っておく?誰に…何を…?
-
ヴァレッタ
そうだ!寮に新鮮で質のいいキノコが山ほどあるんだ!
-
ヴァレッタ
リゾット作ってやるから食いに来いよ!
-
シルバー
いや、遠慮する
-
ヴァレッタ
何で?
-
シルバー
そんな事をしてもらう理由がない
-
ヴァレッタ
理由?
-
ヴァレッタ
アズールもフロイドももうキノコはいらないって食べてくれないんだ
-
ヴァレッタ
私は食いもんなんて何でもいいが流石に減らなくて困ってる。人助けと思って食べるの手伝って!
-
シルバー
困ってるのか……分かった。そういう事ならお言葉に甘えさせてもらおう
-
ヴァレッタ
決まり!
-
翌日
-
ジェイド
おや?シルバーさんがいらっしゃるとは珍しい。オクタヴィネル寮へようこそ
-
シルバー
ああ、邪魔する
-
ジェイド
どういったご用件でしょう
-
シルバー
ヴァレッタに呼ばれて…。彼女はどこにいるんだろうか
-
ジェイド
………、ヴァレッタに?
-
ジェイド
失礼ですが…いつどういう経緯でどのような約束を?
-
シルバー
聞いていないのか…彼女とは…
-
ヴァレッタ
シルバー!いらっしゃい!
-
シルバー
…すまない、少し早かっただろうか
-
ヴァレッタ
いいや!ちょうど出来たところだ!こっちに来て!
-
ジェイド
………
-
ガシッ
-
ヴァレッタ
痛っ!え?なに?
-
ジェイド
何も聞かされていませんが?
-
ヴァレッタ
は?
-
シルバー
ジェイド、手を離せ。あまり強く掴んでは痕が残るかもしれない
-
ヴァレッタ
そうだ!おなごには優しくしろ!
-
ジェイド
あなご?
-
ヴァレッタ
あなごじゃねぇ!おなごだ!
-
シルバー
おなごには優しく…。…ヴァレッタ、
-
ヴァレッタ
ん?
-
シルバー
その…普段とは違うその姿が…
-
ヴァレッタ
姿?…エプロンの事?
-
シルバー
ああ、…すごく似合っている
-
ヴァレッタ
えっ…お、おう…ありがと…
-
ジェイド
何の茶番ですか?
-
シルバー
茶番?いや、俺は冗談で言っているわけではない
-
ヴァレッタ
だろうな
-
ジェイド
でしょうね
-
ジェイド
それで?あなたがエプロン姿でシルバーさんを出迎えるに至った経緯は?
-
ヴァレッタ
ただ飯作っただけだよ。シルバーが好きだから(キノコのリゾットを)
-
ジェイド
は?
-
ジェイド
………僕は何も聞いていません。初耳だ…今までそんな素振りも…
-
ヴァレッタ
寮長の許可があるんだから副寮長の許可はいらんだろ
-
ジェイド
…アズールは知っているんですね
-
ヴァレッタ
アズールに言ってない事なんてないからな
-
ヴァレッタ
っと話し込んでる場合じゃねえ。せっかく作ったのに冷めちまう
-
ヴァレッタ
待たせてごめん!
-
シルバー
すぅ……すぅ……
-
ヴァレッタ
寝とる!起きて!
-
シルバー
はっ!
-
ヴァレッタ
行こう!
-
ジェイド
………
-
シルバー
待て、ジェイドは何か話があるみたいだ。俺の事はいいからきちんと話し合った方がいい
-
ヴァレッタ
後でいい!
-
シルバー
しかし…
-
ヴァレッタ
もう早く!
-
シルバー
っ!?すごい力だ…一瞬セベクに手を引かれているのかと錯覚した…
-
ヴァレッタ
自信作なんだ!………レシピ通りだが…
-
シルバー
レシピ通りが一番いい。安心で安全だ…好奇心で色々なものを混ぜるのは…良くない
-
ヴァレッタ
そうか…そうだよな!どうぞ召し上がれ!
-
シルバー
いただきます
-
ヴァレッタ
どう?
-
シルバー
っ…!うまい……キノコの風味と食感もさる事ながら味付けが特に…。
レシピを教わりたいくらいだ -
ヴァレッタ
ふふ!良かったな!おかわりいっぱいあるぞ!
-
───
-
シルバー
今日はいい食事をとらせてもらった。感謝する
-
ヴァレッタ
ん。キノコならいっぱいあるからまたいつでも来いよな
-
シルバー
次に来る機会があったら手土産を持参しよう
-
ヴァレッタ
気ぃ使うなよ。あ、そういやアズールがマレウスさんに宜しくって言ってた!
-
シルバー
マレウス様に…
-
ヴァレッタ
今日あった事をぜひ言ってほしいって
-
シルバー
気軽に話し掛けられるお相手ではないのだが…
-
ヴァレッタ
えー?美味かったとか嬉しかったとか言えないの?くだらねぇ話振るの案外喜ぶんじゃねーかなぁ〜
-
シルバー
…そうだな…好物を振舞ってもらったと、…嬉しかったと話してみよう
-
ヴァレッタ
丁重にもてなされたって誇張していいぜ!
-
シルバー
実際にあった事は誇張とは言わない
-
ヴァレッタ
あはっそうね
-
シルバー
そういえば…ジェイドの様子が少し気になった。…話があるようだったが…
-
ヴァレッタ
え?そうなの?
-
シルバー
ちゃんと聞いてやった方がいい。何か行き違いがあってからでは面倒だ
-
ヴァレッタ
んー
-
シルバー
…そろそろ鍛錬の時間だ。邪魔をした
-
ヴァレッタ
ん、またな
-
─────
-
ヴァレッタ
邪魔するぜぇ
-
ジェイド
………
-
ヴァレッタ
あ?昼間から寝てんじゃねぇ起きろ!
-
ジェイド
昼寝は昼に寝るから昼寝なんです
-
ヴァレッタ
うるせぇ!起きろ!
-
ジェイド
嫌だ…
-
ヴァレッタ
駄々っ子か!なに?何かあったの?
-
ジェイド
…失恋しました
-
ヴァレッタ
キノコ美味かったって!良かったな!
-
ジェイド
会話する気あります?
-
ヴァレッタ
喜んで食べてもらいたいって言ってたもんな!
-
ヴァレッタ
シルバー大絶賛だったリゾットだ!温め直したからお前も食え!
-
ジェイド
…はい、いただきま…
-
ヴァレッタ
やっぱいいや
-
ジェイド
え?
-
ヴァレッタ
またレシピ通りのつまらねぇ味だとか言われたらムカつくし
-
ジェイド
…言いませんよ。…食べさせてください
-
ヴァレッタ
ほんとに言わない?
-
ジェイド
はい。あなたが手間を掛けて作ったという一点が重要なので
-
ヴァレッタ
ふん。はい、あーん
-
ジェイド
え…
-
ヴァレッタ
ん?食べさせてって言ったよね?
-
ジェイド
あ…そういう意味では…っいえ!ありがとうございます。いただきます
-
ジェイド
…うん、美味しいですね。とても…
-
ヴァレッタ
ったりめぇだろ誰が作ったと思ってんだ
-
ジェイド
シルバーさんの為にこんな美味しい手料理を…。妬けますね
-
ヴァレッタ
ん?
-
ジェイド
いつから…いつからですか?いつからシルバーさんの事が好きなんですか?
-
ヴァレッタ
………んん?
-
ジェイド
………ん?
-
ジェイド
………
-
ジェイド
シルバーが好きだから飯を作った、と言っていましたよね?あなた…
-
ヴァレッタ
………シルバーが、キノコのリゾットが好きだから作った…とは言ったが
-
ジェイド
……………
-
ヴァレッタ
……………
-
ジェイド
………出て行ってもらえます?恥ずかしいので
-
ヴァレッタ
やだね
-
ヴァレッタ
僕がシルバーを好きだと君が昼寝する意味は分からんが……あはっ!とりあえず勘違い乙www
-
ジェイド
(イラァ…!)
出て行ってください!! -
ヴァレッタ
ぜってーやだね!
-
しばらく押し問答した後 一緒にキノコリゾットを食べて仲直りした。
-
…がしばらくして いや待て好きな料理を手作りする理由は…と考え始めたジェイド。
-
せっかく作ったキノコを美味しく食べてもらいたいというジェイドの望みを叶えているが、じゃあジェイドの為でもあるねぇとフロイドに言われるまでふて寝してた。勘違い乙。
タップで続きを読む