-
ジェイド
おや、鏡を見るなんて珍しいですね。反射的に叩き割る癖は直ったんですか?
-
ヴァレッタ
可愛いって言われた
-
ジェイド
はい?
-
ヴァレッタ
私は可愛いか?
-
ジェイド
ええ……まぁ……
-
ジェイド
………え?
-
ヴァレッタ
冷静に考え直して疑問に思うのやめろ
-
ジェイド
いえ、一体誰があなたにそんな事を…
-
ヴァレッタ
誰かに可愛いと思われちゃダメなのかよ
-
ジェイド
ダメですね
-
ヴァレッタ
ぁあ?
-
ジェイド
あなたに可愛いと思うのも言うのも僕だけでいいので
-
ヴァレッタ
なんでお前って昔から嫌がらせしてくんの?
-
ジェイド
何が嫌がらせなんですか???
-
ヴァレッタ
僕を周りから孤立させようとしてる
-
ジェイド
ただの独占欲です
-
ヴァレッタ
ほら!
-
ジェイド
…あなたって本当に人に好かれた事がないんですね
-
ヴァレッタ
おう何だ喧嘩か?喧嘩なら買うぞ?ええ?
-
ジェイド
好意を向けられた事のない人というのは他人の言動の全てを自分を否定し敵意があるように感じるんですね。可哀想に
-
ヴァレッタ
?? 何言ってるか分かんない
-
ジェイド
ですが考えようによっては僕が初めて……ふふ、それはいいですね
-
ヴァレッタ
なに笑ってんの?ぶん殴られたいの?
-
ジェイド
僕が教えてあげますね。これから少しずつ覚えていってください。自分に好意を抱いている相手の言動を
-
ヴァレッタ
なんかムカつくからぶん殴る
-
ジェイド
ところで、誰に可愛いと言われたんですか?
-
ヴァレッタ
シルバー
-
ジェイド
…希望的観測からの幻聴では?
-
ヴァレッタ
なんて?
-
ジェイド
シルバーさんに何かを可愛いと思う感性があるとは思えません
-
ヴァレッタ
お前って人の事嫌いだよな。嫌な方向に思い込むのやめな?性格悪いよ
-
ジェイド
あなたにだけは言われたくありません
-
ジェイド
…あなたにだけは
-
ジェイド
言われたくありません
-
ヴァレッタ
2回言うな!!
-
ジェイド
何故シルバーさんとそんな話に?唐突に言われたんですか?
-
ヴァレッタ
シルバーは動物に好かれるんだ。寄ってくる動物を可愛いとよく言ってるぜ
-
ジェイド
それで?あなたも寄って行ったんですか?
-
ヴァレッタ
ただのタコだと思ってる?
-
ジェイド
知能のあるタコだと思っていました
-
ヴァレッタ
過去形にすんな
-
ジェイド
それで?
-
ヴァレッタ
それでって別に…
-
─────
-
ヴァレッタ
なんかいっぱい来たぞ!
-
シルバー
リスだ
-
ヴァレッタ
へぇ…
-
シルバー
可愛いな
-
ヴァレッタ
ん…小動物は可愛くていいな…
-
シルバー
………
-
ヴァレッタ
…え?何…
-
シルバー
お前も可愛いぞ
-
ヴァレッタ
えっ?
-
シルバー
俺はヴァレッタも可愛いと思う
-
ヴァレッタ
お…う…あ、ありがとう……
-
─────
-
ヴァレッタ
顔をじっと見て、可愛いって……あんな綺麗な顔で、綺麗な目で…
-
ジェイド
………
-
ヴァレッタ
ははっあれは天然の女たらしだな!
-
ジェイド
…嬉しかったですか?
-
ヴァレッタ
うん。嘘っぽくなかったから
-
ジェイド
あなたは…僕の事が嫌いですか?
-
ヴァレッタ
はあ?まぁ、好きか嫌いかで言えば
-
ジェイド
僕は好きです
-
ヴァレッタ
ふーん
-
ジェイド
あなたに嘘を言った事はありません
-
ヴァレッタ
それが嘘なんだが?
-
ジェイド
いえ、…可愛いと…。…そういう事を、嘘で言った事はないんです
-
ヴァレッタ
ってかお前に可愛いなんて言われた事ないけど
-
ジェイド
……ああ、…そうですね。綺麗という言葉を選んでいました。でも可愛いと思っていましたよ
-
ヴァレッタ
後出しで言われてもな
-
ジェイド
…あなたは可愛いです
-
ヴァレッタ
知ってる。シルバーにもそう言われたし
-
ジェイド
………
-
ヴァレッタ
…おい、可愛いヴァレッタちゃんの顔を見ながらため息つくなぶっ飛ばすぞ
-
ジェイド
何故いつも僕の言葉だけ素直に受け取ってくれないんですか?
-
ヴァレッタ
君が素直じゃないからじゃない?
-
ジェイド
僕は素直です
-
ヴァレッタ
君ほどひねくれ曲がり腐ってる奴を僕は知らない
-
ジェイド
百歩譲ってひねくれていても曲がり腐ってはいません
-
ヴァレッタ
曲がり腐るって何?どういう状況?
-
ジェイド
僕が知りたいですが
-
ヴァレッタ
なんか思ったんだが、シルバーって僕の事好きなのかな?
-
ジェイド
はあ?
-
ヴァレッタ
聞いた事のない返事すな
-
ジェイド
突拍子もない有り得ない事に話題を変えられたのでつい
-
ヴァレッタ
有り得ないかな?だって面と向かって可愛いなんて嫌いな女に言うか?
-
ジェイド
女ではないので言うのでは?
-
ヴァレッタ
シルバーは女だと思ってるの!
-
ジェイド
はぁ
-
ヴァレッタ
よく二人で出掛けるが大体シルバーから誘うし、僕の話を聞く為に寝ない努力をしようとするし、何故か宝石や花をよくくれるんだぜ
-
ジェイド
はぁ
-
ヴァレッタ
好きになられたらどうしよう
-
ジェイド
すみません、鳥肌が…
-
ヴァレッタ
鳥?焼いて食っていいか
-
ジェイド
嫌な寒気と目眩がします
-
ヴァレッタ
病気だな
-
ジェイド
妙な勘違いはやめてください。恥ずかしいですし相手方に失礼です。シルバーさんに謝ってください
-
ヴァレッタ
いやそんな事より病気の症状は?薬作ってやるから詳しく言いな
-
ジェイド
本気ですか?
-
ヴァレッタ
嘘なのか?
-
ジェイド
嘘ではありませんが……では抱き締めて温めてください。それが一番よく効きます
-
ヴァレッタ
寒いのか。仕方ねぇな。お前に倒れられたらラウンジが回らねぇからな…
-
ギュッ
-
ジェイド
……僕はあなたが心配です
-
ヴァレッタ
心配される側だろ
-
ジェイド
あまりにもチョロ…いえ、騙されやすいので
-
ヴァレッタ
騙してるの?
-
ジェイド
僕は嘘をつきません
-
ヴァレッタ
嘘つくな
-
ジェイド
もっと強く抱き締めて
-
ヴァレッタ
折っていいの?
-
ジェイド
折らない程度に
-
ヴァレッタ
難しいな…
-
ジェイド
あなたは馬鹿みたいな力を持っているので僕以外の人を抱き締めてはいけませんよ
-
ヴァレッタ
アズールは?
-
ジェイド
馬鹿力同士なので例外です
-
ヴァレッタ
アズールの事馬鹿にしてる?
-
ジェイド
褒めています
-
ヴァレッタ
ふーん
-
ジェイド
普通の人間相手の話です。…シルバーさんなど
-
ヴァレッタ
シルバーは鍛えてるから大丈夫だが…抱かれるのは好きじゃないらしい
-
ジェイド
は?
-
ヴァレッタ
お姫様抱っこしたら嫌がられた
-
ジェイド
どういう状況ですか?
-
ヴァレッタ
別にただしただけ
-
ジェイド
どういう状況ですか!
-
ヴァレッタ
うるせぇな…もういいか?震えてるわけじゃねぇし、こんな事よりベッドで寝た方温まるだろ
-
ジェイド
まだダメです。あなたは責任を取るべきだ
-
ヴァレッタ
何の責任?
-
ジェイド
それくらい自分で考えなさい
-
ヴァレッタ
えーなんかダル…。めんどいからベッドまで運ぼっと
-
ジェイド
ちょっと、勝手に抱き上げないで
-
ヴァレッタ
うるせぇな、口塞ぐぞ
-
ジェイド
手が塞がっているのにどうやって?
-
ヴァレッタ
口で塞いでやろうか
-
ジェイド
………、
-
ヴァレッタ
冗談だよ
-
ジェイド
………あなたは根暗で陰険のくせに暴力的で本当にどうしようもない人ですね。あなたのような人に付き合っていられるのは僕くらいです。シルバーさんの気遣いを勘違いしないように。失礼な思い違いに対して謝罪するべきだ。あなたはよく考えて自分の言動を……
-
ヴァレッタ
(ほんとに急にうるせぇな…何だこいつ)
-
ジェイド
…早くしてくださいよ
-
ヴァレッタ
(何を…?)
-
─────
-
ヴァレッタ
君って私の事好きなのかな
-
シルバー
? ああ、好きだ
-
ヴァレッタ
そうか!私もわりと好きだぞ!
-
シルバー
そうか。嬉しい
-
ヴァレッタ
へへ、友達みたいだな!
-
シルバー
友達…。同郷のセベク以外あまり親しいと呼べる人はいなかったから、お前がそうなってくれるなら嬉しい
-
ヴァレッタ
私もそうだな…友達はアズールしかいない…
-
シルバー
そう…なのか?
-
ヴァレッタ
君は顔も目も心も綺麗だから苦手だと思っていたが、ジェイドみたいに嫌味っぽくなくて良い奴だから好きだぞ
-
シルバー
良い奴か…ありがとう。俺はお前のはっきりした物の言い方や性格が好きだ
-
ヴァレッタ
あんがと!なぁ、私は可愛いだろうか
-
シルバー
ああ、可愛いと思う
-
ヴァレッタ
っふふ、君もはっきりしてるな!嬉しいぞ!これからもよろしく!
-
シルバー
こちらこそよろしく頼む
-
─最後の会話だけ聞こえてしまったセベクが勘違いし、彼の中でシルバーの恋人という事になった。
-
シルバーに好きと言われたとジェイドに話したら何か勘違いしてだるい事になったのでしばらく深海から出てこなくなったヴァレッタくんだった。
タップで続きを読む