美鶴×珠紀
「珠紀様、本日もご一緒に登校してもよろしいですか?」
朝、美鶴と一緒に朝食を食べていると、もじもじさせながら彼女は言った。珠紀はごくんと飲み込んでから「もちろんいいよ」とにこやかに言うと、美鶴はぱあっと花が綻んだような輝かしい笑顔を浮かべた。
「はい! ありがとうございます!」
季封村に戻って以降、美鶴は何かと珠紀と一緒に行動したがる。以前はどこか距離をおかれていたように思うが、それでもこうして一緒にいたいと思ってくれるようになっただけでも喜ばしいことである。
「美鶴ちゃん、友達はできた?」
「そ、それは……」
美鶴は俯いた。あまりにも美少女で人を寄せ付けない雰囲気を持つ美鶴は、未だ友達らしい友達ができていないらしい。
「まあ、焦らなくても美鶴ちゃんはいい子だからすぐに友達できるよ」
「……私は別に、友達がいなくてもあなた様がいれば……」
美鶴は何か小声が言っているが珠紀には聞こえなくて「どうしたの、美鶴ちゃん?」と問うと、美鶴は「いえ! なんでもありません!」と首を振って顔を赤らめていた。
毎日こんな様子で美鶴の挙動不審なところに心配するが、美鶴はしっかりしている子なので大丈夫だろう。珠紀はそう結論づけた。
おいしい朝食を食べ終え、美鶴とともに片付けをして学校へ行く支度をする。
先に玄関で待っていると、美鶴は制服に着替えぱたぱたとやってきた。
「さ、美鶴ちゃん、行こうか」
「はい」
美鶴は最近距離が近くなった。それはもう、物理的に。玄関を出て鍵を閉めたらすぐに腕を掴まれる。美鶴は珠紀に寄り添うにして歩くのだ。以前なら天地がひっくり返ってもありえないことだったのに、本当にどうしたのだろうか。
「あのー、美鶴ちゃん?」
「はい、なんでしょう」
すぐそばには美少女が首を傾げている姿がそこにある。心なしか瞳がきらきらしているのは、おそらく珠紀の気のせいじゃない。
「……まあ、美鶴ちゃんがいいならいっかあ」
「? はい」
にこりと微笑むとぎゅうと掴まれてた腕の力が強くなる。もちろん、珠紀が痛いと感じない程度の強さだ。
「よお、相変わらず仲がいいなあ」
「真弘先輩」
「鴉取さん」
学校への道すがら、真弘に遭遇すると美鶴は組んでいた腕にぎゅっと力を込めてぐいとさらに身を寄せた。
「……おまえら、なんか近くねえか?」
「そうかな?」
「いいですか鴉取さん、これは私と珠紀様の絆の分だけ許された距離なのです」
「なんだそりゃ。玉依姫と守護者の絆だってすごいんだぞ?」
「そうですね、それは珠紀様のことを考えれば当然そうなるでしょう。ですが、私は珠紀様に直接仕えることを許された身です。守護者のみなさんには到底無理なことです」
つーんとした態度でそう言う美鶴に真弘は苦笑するしかなかった。これだけは譲れませんという態度がひしひしと伝わる。
「美鶴ちゃん、そんなに私のことを……?」
珠紀は珠紀で感動している。やはり以前の美鶴なら考えられないことだったので、距離をおかれていると思っていた珠紀は美鶴の変貌にいたく感動していたのだ。
「もう、可愛いなあ美鶴ちゃん!」
「きゃあ!」
珠紀は美鶴に抱きついた。ぎゅうぎゅうと力を込めて抱きしめると、おずおずといった様子で珠紀の背中に腕を回す。
「……珠紀様、私はとても嬉しいです」
「美鶴ちゃんが嬉しいなら私も嬉しいよ」
真弘の目の前で女子二人が仲睦まじく抱きしめ合っている姿は、なんだか見てはいけないものを見せつけられている気がしてならない気がした。女子二人の周りに花が咲き誇っているように見えるのは、果たして本当に真弘が見ている幻覚なのだろうか。
「珠紀様……」
「美鶴ちゃん……」
心なしか、顔まで近くなっているように見える。というか、美鶴は主にキスしようと迫っているように見えた真弘は「おい! 従者が主に迫ってどうする!」とツッコミを入れたおかげ(?)か、珠紀の唇は守られた。
「わあ、なんだか空気に飲まれちゃったよ!? 真弘先輩、ありがとう!?」
「お、おう! 俺様に感謝しとけ!?」
「もう少しだったのに」
「おい美鶴、おまえキャラ変わってねえか?」
「なんですか鴉取さん」
美少女に凄まれて何も言えなくなる真弘は「……まあ、おまえらが幸せ(?)なら、それでいいのか……?」と、わけの分からないことを言ってそそくさとその場を離れた。
「家に帰れば二人きりですもんね、時間はまだたっぷりありますから。そうですよね、珠紀様」
「うん? そうだね」
美鶴はまた珠紀の腕に絡みついて鼻歌でも歌いそうな上機嫌さで二人仲良く学校へと歩いて行った。
「……だから邪魔するなと言ったのに」
祐一の呟きは真弘には届かなかった。真弘、哀れなり。
朝、美鶴と一緒に朝食を食べていると、もじもじさせながら彼女は言った。珠紀はごくんと飲み込んでから「もちろんいいよ」とにこやかに言うと、美鶴はぱあっと花が綻んだような輝かしい笑顔を浮かべた。
「はい! ありがとうございます!」
季封村に戻って以降、美鶴は何かと珠紀と一緒に行動したがる。以前はどこか距離をおかれていたように思うが、それでもこうして一緒にいたいと思ってくれるようになっただけでも喜ばしいことである。
「美鶴ちゃん、友達はできた?」
「そ、それは……」
美鶴は俯いた。あまりにも美少女で人を寄せ付けない雰囲気を持つ美鶴は、未だ友達らしい友達ができていないらしい。
「まあ、焦らなくても美鶴ちゃんはいい子だからすぐに友達できるよ」
「……私は別に、友達がいなくてもあなた様がいれば……」
美鶴は何か小声が言っているが珠紀には聞こえなくて「どうしたの、美鶴ちゃん?」と問うと、美鶴は「いえ! なんでもありません!」と首を振って顔を赤らめていた。
毎日こんな様子で美鶴の挙動不審なところに心配するが、美鶴はしっかりしている子なので大丈夫だろう。珠紀はそう結論づけた。
おいしい朝食を食べ終え、美鶴とともに片付けをして学校へ行く支度をする。
先に玄関で待っていると、美鶴は制服に着替えぱたぱたとやってきた。
「さ、美鶴ちゃん、行こうか」
「はい」
美鶴は最近距離が近くなった。それはもう、物理的に。玄関を出て鍵を閉めたらすぐに腕を掴まれる。美鶴は珠紀に寄り添うにして歩くのだ。以前なら天地がひっくり返ってもありえないことだったのに、本当にどうしたのだろうか。
「あのー、美鶴ちゃん?」
「はい、なんでしょう」
すぐそばには美少女が首を傾げている姿がそこにある。心なしか瞳がきらきらしているのは、おそらく珠紀の気のせいじゃない。
「……まあ、美鶴ちゃんがいいならいっかあ」
「? はい」
にこりと微笑むとぎゅうと掴まれてた腕の力が強くなる。もちろん、珠紀が痛いと感じない程度の強さだ。
「よお、相変わらず仲がいいなあ」
「真弘先輩」
「鴉取さん」
学校への道すがら、真弘に遭遇すると美鶴は組んでいた腕にぎゅっと力を込めてぐいとさらに身を寄せた。
「……おまえら、なんか近くねえか?」
「そうかな?」
「いいですか鴉取さん、これは私と珠紀様の絆の分だけ許された距離なのです」
「なんだそりゃ。玉依姫と守護者の絆だってすごいんだぞ?」
「そうですね、それは珠紀様のことを考えれば当然そうなるでしょう。ですが、私は珠紀様に直接仕えることを許された身です。守護者のみなさんには到底無理なことです」
つーんとした態度でそう言う美鶴に真弘は苦笑するしかなかった。これだけは譲れませんという態度がひしひしと伝わる。
「美鶴ちゃん、そんなに私のことを……?」
珠紀は珠紀で感動している。やはり以前の美鶴なら考えられないことだったので、距離をおかれていると思っていた珠紀は美鶴の変貌にいたく感動していたのだ。
「もう、可愛いなあ美鶴ちゃん!」
「きゃあ!」
珠紀は美鶴に抱きついた。ぎゅうぎゅうと力を込めて抱きしめると、おずおずといった様子で珠紀の背中に腕を回す。
「……珠紀様、私はとても嬉しいです」
「美鶴ちゃんが嬉しいなら私も嬉しいよ」
真弘の目の前で女子二人が仲睦まじく抱きしめ合っている姿は、なんだか見てはいけないものを見せつけられている気がしてならない気がした。女子二人の周りに花が咲き誇っているように見えるのは、果たして本当に真弘が見ている幻覚なのだろうか。
「珠紀様……」
「美鶴ちゃん……」
心なしか、顔まで近くなっているように見える。というか、美鶴は主にキスしようと迫っているように見えた真弘は「おい! 従者が主に迫ってどうする!」とツッコミを入れたおかげ(?)か、珠紀の唇は守られた。
「わあ、なんだか空気に飲まれちゃったよ!? 真弘先輩、ありがとう!?」
「お、おう! 俺様に感謝しとけ!?」
「もう少しだったのに」
「おい美鶴、おまえキャラ変わってねえか?」
「なんですか鴉取さん」
美少女に凄まれて何も言えなくなる真弘は「……まあ、おまえらが幸せ(?)なら、それでいいのか……?」と、わけの分からないことを言ってそそくさとその場を離れた。
「家に帰れば二人きりですもんね、時間はまだたっぷりありますから。そうですよね、珠紀様」
「うん? そうだね」
美鶴はまた珠紀の腕に絡みついて鼻歌でも歌いそうな上機嫌さで二人仲良く学校へと歩いて行った。
「……だから邪魔するなと言ったのに」
祐一の呟きは真弘には届かなかった。真弘、哀れなり。
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