拓磨×珠紀
転校して数日の珠紀は紅陵学院の教室と場所がまだ一致していなかった。拓磨と真弘からざっくりとした説明を受けたが、それでもあやふやな記憶のままだ。
自分の教室と図書室だけは覚えたが、それ以外はさっぱりだ。
その日はホームルームを終え、清乃からどう逃げるか考えていると、担任の先生から「春日に渡したい書類を職員室に忘れたから取りに来て」と言われたのだ。
それだけ言うと担任はさっさと職員室へと戻り、珠紀は置いて行かれてしまった。
同じ場所に行くのだから待っていてくれてもいいじゃないかと内心ごちる珠紀だが、さすがに口に出しては言えない。
珠紀はまだ職員室の場所が分からないので、どうしたものかと悩んでいると、人がまばらになった教室で拓磨が話しかけてきた。
「珠紀、お前職員室分かるのか?」
「ううん、分からない」
「だと思った。着いてこい」
「拓磨、連れてってくれるの?」
「分からないやつを放っておくほど人でなしじゃないんでね。いいから早く来い」
「ちょっと、待ってよ!」
珠紀は急いで机のものを鞄に詰め込んだ。さっさと教室を出ていく拓磨の後を追い、隣に並ぶ。
「拓磨ってさ、意外と優しいよね」
「まあ、俺は守護者だからな。お前が困ってたら助けてやるって約束しただろ」
先日の宇賀谷家の蔵の後、みんなでそう話し合ったことを思い出した珠紀は「そういえばそうだった」と手を打つ。
「でもさ、こうやってわざわざ一緒に行ってくれるところが優しいと思うんだよね。ありがとう、拓磨」
「ん」
耳がわずかに赤くなっている。照れているのだろうか。顔を覗き込むと、頬が赤くなっていた。
「拓磨くん、照れてるの?」
「照れてない」
「でも、頬が赤いよ?」
「うるさい、静かに着いてこい」
思えば最初から拓磨は優しかった。カミに会った時も助けてくれたし、なんだかんだで荷物を持ってくれたし、今だって歩幅を合わせてくれている。ぶっきらぼうな物言いで分かりにくいけれど、やはり拓磨は優しいのだ。
機嫌がよくなった珠紀を訝しむような目で見てくる拓磨のことを許してあげた。女子高育ちで男の子に縁がなかった珠紀は、初めてできた男友達(?)に嬉しくなったのだ。
今は玉依姫と守護者の関係だが、この村に住むからには仲良くなりたい。まずはその第一歩を踏み出せたことに感謝しながら職員室までの道のりを二人肩を並べて歩いた。
自分の教室と図書室だけは覚えたが、それ以外はさっぱりだ。
その日はホームルームを終え、清乃からどう逃げるか考えていると、担任の先生から「春日に渡したい書類を職員室に忘れたから取りに来て」と言われたのだ。
それだけ言うと担任はさっさと職員室へと戻り、珠紀は置いて行かれてしまった。
同じ場所に行くのだから待っていてくれてもいいじゃないかと内心ごちる珠紀だが、さすがに口に出しては言えない。
珠紀はまだ職員室の場所が分からないので、どうしたものかと悩んでいると、人がまばらになった教室で拓磨が話しかけてきた。
「珠紀、お前職員室分かるのか?」
「ううん、分からない」
「だと思った。着いてこい」
「拓磨、連れてってくれるの?」
「分からないやつを放っておくほど人でなしじゃないんでね。いいから早く来い」
「ちょっと、待ってよ!」
珠紀は急いで机のものを鞄に詰め込んだ。さっさと教室を出ていく拓磨の後を追い、隣に並ぶ。
「拓磨ってさ、意外と優しいよね」
「まあ、俺は守護者だからな。お前が困ってたら助けてやるって約束しただろ」
先日の宇賀谷家の蔵の後、みんなでそう話し合ったことを思い出した珠紀は「そういえばそうだった」と手を打つ。
「でもさ、こうやってわざわざ一緒に行ってくれるところが優しいと思うんだよね。ありがとう、拓磨」
「ん」
耳がわずかに赤くなっている。照れているのだろうか。顔を覗き込むと、頬が赤くなっていた。
「拓磨くん、照れてるの?」
「照れてない」
「でも、頬が赤いよ?」
「うるさい、静かに着いてこい」
思えば最初から拓磨は優しかった。カミに会った時も助けてくれたし、なんだかんだで荷物を持ってくれたし、今だって歩幅を合わせてくれている。ぶっきらぼうな物言いで分かりにくいけれど、やはり拓磨は優しいのだ。
機嫌がよくなった珠紀を訝しむような目で見てくる拓磨のことを許してあげた。女子高育ちで男の子に縁がなかった珠紀は、初めてできた男友達(?)に嬉しくなったのだ。
今は玉依姫と守護者の関係だが、この村に住むからには仲良くなりたい。まずはその第一歩を踏み出せたことに感謝しながら職員室までの道のりを二人肩を並べて歩いた。
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