ミ・ω・ミ

🐾

2019/10/24 22:00
小話
ジャッジアイズのお題『ときめき10の瞬間』内『気丈なあの子が涙するとき』の続きがぽんと浮かんで珍しくさっと書けたので載せておきます。よろしければどうぞ(*´꒳`*)
#ジャッジアイズ

読む


結局東さんの言葉の真意は訊けないまま、東さんに送られて私はアパートの前まで帰ってきていた。


「話聞いてくれてありがと。お陰ですごく気持ちが楽になった」

「それは何より。じゃあまたな」

「うん、おやすみなさい」


今まで遠慮してくれていたんだろう煙草を内ポケットから取り出しながら、東さんは踵を返して歩き出す。

それをなんとなく見送っていると、その足がふと止まった。

どうかしたのかと思う間もなく、ち、と舌打ちすると同時に振り返った東さんは取り出した煙草をポケットにねじ込みながら大股で戻って来て――


「東さ…っ、」

その勢いのままに、私を強く抱きしめた。


「やっぱまだ遅くねえよ。すぐじゃなくていい、けど俺のこと好きんなれ、――…」

抱きしめられ耳もとで狂おしげに名前を呼ばれた時、自分の中に恋を失った苦しさをかき消す勢いで東さんへの愛しさがわき上がってくるのを感じた。


…うん、分かった

だから私はそう答え、その背中にそっと腕を回したのだった。

コメント

[ ログインして送信 ]

名前
コメント内容
削除用パスワード ※空欄可