呼び慣れた名前
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頬を寄せた大吾の胸が震えた。
体を離すと、悪い、と呟いた大吾は胸ポケットから携帯を取り出す。
何度か短く返事をして電話を切った大吾は申し訳なさそうに私を見た。
「悪い、緊急幹部会の呼び出しだ」
大吾の表情からも大事な電話だと分かったし引き止めるつもりはなかったけれど、それでも私はひとつわがままを言ってみることにした。
「遅くなってもいいから、それが終わったら…もう一度逢いに来てくれる?」
「時間読めねえぞ?」
「大丈夫。…待ってていい?」
「ああ」
***
大吾が幹部会とやらに行ってからかなりの時間が経っていた。
けれど何時になっても大吾は必ず来てくれると思っていたから、パソコンに向かったりのんびりコーヒーを飲んだりしながら私は彼を待った。
とその時、インターホンが待ち人の来訪を告げる。
時計を見上げると、ちょうど日付が変わる時間だった。
「お帰り」
ドアを開けそう言ってにこりと笑って見せてからなんてね、と冗談ぽく言うと、いいな、それと言いながら大吾は私を抱きしめた。
「お疲れ様。コーヒー、お酒、軽くならご飯も用意できるし…お風呂も沸いてるよ?」
その体を抱きしめ返しながら訊くけど、大吾は答えない。
だから私はそれとも、と続ける。
「それとも、ベッド…行く?」
すると大吾は一度体を離し、私の表情を確かめるように顔を覗き込んできた。
そしてもう一度私を抱きしめ、耳もとで囁いた。
「…最後ので」
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