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大吾の部屋への引っ越しが終わり少し落ち着いたところで、可那子はバンタムを訪れた。
「本当に、申し訳ありませんでした!」
深く頭を下げる可那子。
しかし戸部はそんな可那子を責めるわけでもなく、ただ理由を訊ねた。
噂は耳にしていたが、それが本当に事実なのかどうかを可那子の口から聞きたかったからだった。
「私は――…堂島さんが、好きでした」
すべてを話すわけにはもちろんいかなかったが、それでも可那子は大吾と出逢った時の気持ちは正直に打ち明けると決めていた。
「だからあの日、兄妹だということを聞かされてものすごくショックで。忘れたくて、…逃げました」
戸部は何も言わず可那子の言葉を聞いていた。
死人も出ず犯人もすぐ捕まったため大きなニュースにはならなかった通り魔事件。
そのニュースをたまたま目にした大吾が迎えに来てくれたこと、弥生にも会ったこと、これからは兄妹として一緒に暮らすことを可那子は淡々と話した。
「可那子ちゃん」
もう一度頭を下げドアに手をかけた時、戸部がふと可那子を呼び止めた。
「つらくなったら、いつでもおいで」
その言葉ひとつで、可那子の中に色々な感情が押し寄せる。
「…はい」
溢れてしまいそうな涙を必死でこらえながら可那子は、そう返事をするのが精一杯だった。
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