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ついばむように触れ合っていた唇はやがてその奥までを求め始め、可那子の口内に滑り込んだ舌は歯列をなぞり可那子のそれを絡めとる。
角度を変え何度も口づけながら大吾は、その度に可那子の吐息を呑み込んだ。
やがて唇が離れ、うつむく可那子を大吾は優しく抱きしめた。
そして肩を抱いて歩き出す。
「、どこへ…?」
可那子にも当然分かっていた。
これから自分たちが、どうなるのかということは。
それでも口をついて出てしまった可那子の問いには答えないまま、大吾はエレベーターで少し下の階へ下りた。
***
ミレニアムタワー45階は、東城会が管理する来賓のための客室となっていた。
その一室、整然とメイクされたベッドの上。
一糸まとわぬ姿で可那子は、大吾に組み敷かれていた。
「もう…赦して、ください…!」
見つめられ続けることに耐え切れなくなった可那子が、泣き出しそうな声で懇願する。
壁一面の窓から差し込む月明かりに照らし出される肢体を瞳で堪能した大吾は、そんな可那子に優しく口づけながらその胸のふくらみを包み込んだ。
同時に先端を摘むと、可那子の唇からは吐息がこぼれ落ちた。
大吾はそのまま、先端を舐め転がしながら乳房を揉みしだく。
恥ずかしさにどうにかなってしまいそうになりながら可那子は、大吾の肩を力なく掴み声を漏らした。
「ぁ、やぁ…っ」
可那子の体を滑った大吾のもう片方の手が、可那子の太ももをなでた後その中心へと触れた。
体をびくんと震わせた可那子の入口を引っかき、ゆっくりと指先を埋める。
「…っ」
すでに十分に潤ったそこに痛みはなく、ただやわらかく大吾の指を包み込んだ。
温かく濡れたそこをかきまぜると、可那子の中は更に熱を持ちとろけていく。
濡れた指先を舐める大吾を見て恥ずかしそうに目を逸らした可那子だったが、大吾が服を脱ぎ捨てた時、ふとその手を差し伸べた。
「…可那子?」
大吾が避妊具を着けようとしていた手を止めて可那子を見ると、
「大丈夫、ですから…、お願い…!」
可那子が泣き出しそうな表情で懇願した。
大吾とちゃんと繋がりたかったから。
隔てるものなどない状態で、大吾を感じたかったから。
大吾はすぐに可那子の想いに気付いた。
そしてそれはもちろん、大吾の思うところとしても同じだった。
しかしそれでも大吾は躊躇した。
責任をとりたくないわけでは当然ない。
万が一の時、傷付くのが女である可那子だからだ。
その大吾の想いは、可那子にも伝わっていた。
しかしそれでもなお、可那子はそのままの大吾を求めていたのだった。
何があっても守ると決めていたはずなのに…覚悟が足りなかったのは自分かと、大吾は封を切った避妊具を中身ごとごみ箱に捨てた。
そして裸のままの自身を、可那子の中心に宛がう。
「…っ!」
ゆっくりと割り開かれる感覚に一瞬眉をしかめた可那子だったが、心配そうに見下ろす大吾に気丈に笑って見せる。
そして――…
「おに、ちゃ…」
「――…っ!」
おそらく無意識に出たそれに、しかし大吾は伸ばされた指先に指を絡めそれを貼り付けると同時に、腰を押し進めた。
「っ!ああぁ…っ!!」
ひと息に最奥まで貫かれ、可那子は苦しげに声を上げた。
しかし大吾はもう、自分を抑えることはできなかった。
可那子のすべてを求め、ただ腰を打ち付けた。
そして可那子の中でも痛みはすぐに快感へと変わり、ぞくぞくと体を走る甘い痺れがその体を支配し始めていた。
「おにぃ、ちゃ…」
「大吾、と呼んでくれないか…」
それは、大吾の願いだった。
兄じゃなく妹じゃなく、赦されないと分かっていても…今はただの男と女、恋人同士でありたいという、願い。
瞬間、可那子の中が大吾を強く締めつけた。
お兄ちゃんと呼ぶこと以上に背徳的な響きが、ふたりの体を更に熱くする。
「大吾さ…、大吾、さん…っ!」
可那子の中、奥深くまで大吾は入り込み突き抉る。
そのたび可那子は切なげに啼き、それが更に大吾を煽った。
このまま溶け合ってしまうんじゃないかと思えるくらいの幸福感の中、やがて可那子は自分の中に注がれた大吾の精を、子宮の奥で受け止めた――…。
***
「私、地元に帰ります…」
可那子を抱きしめたまま離そうとしない大吾の腕の中で、可那子は言う。
「…何故」
可那子がそう言うだろうことは予想がついていた。
大吾は静かに訊き返し、こちらも予想通りであろう答えを待つ。
「東城会会長が、妹と…だなんて、こんなこと知られたら…大吾さんに、迷惑がかかってしまいます…」
大吾は小さく息を吐き、可那子の体を仰向けにしてその両脇に手を付いた。
「そんな心配はしなくていい。それよりも」
「大吾さん…?」
「お前の気持ちを教えてくれ、…正直に」
言われた可那子は一度目を逸らした後、まっすぐに大吾を見上げ、両手を伸ばした。
そしてそれに応えるように可那子を抱きしめた大吾の耳もとに、ためらいがちに囁く。
「離れたく…、ない…」
大吾は抱きしめる腕に力をこめた。
「俺が必ず守るから…そばに、いてくれ」
「、はい…」
可那子もまた、強くその体を抱きしめた。
そしてようやく、大吾も眠りに落ちた。
東城会会長という座に就いてからはおそらく初めて訪れたであろう、深い眠りだった。