教えて大吾せんせい
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物心付く前からすでに、可那子の肉親は風間組若頭である柏木修だけだった。
柏木は可那子の伯父にあたる。
しかし柏木も忙しい身、両親を亡くした可那子を引き取ったはいいが家に帰れないことも少なくなかった。
そんな理由から、風間組組長・風間新太郎の厚意により風間組の事務所内で幼い頃から生活をしてきた可那子。
お気に入りは自分の部屋ではなく、ふかふかのソファのある応接室だった。
しかし今日はそれに座ることなく、絨毯の上に正座した状態でテーブルに向かい可那子は唸っていた。
その時。
「ここ、間違ってるぞ」
「ひゃあ!」
突然頭の上から声をかけられると同時に、顔の横に伸ばされた腕。
「なんだ、大吾か…」
「なんだとはご挨拶だな、陣中見舞いに来てやったってのに」
幼い頃から兄妹のように過ごしてきた5つ年上の大吾は、堂島組組長・堂島宗兵のひとり息子だった。
「ここも間違ってる」
高校最後の期末試験を控えた可那子の様子を見にやって来た大吾は、そう言いながら可那子の横に座り可那子の広げている問題集を眺めた。
「うそ!その問題自信あったのに!」
「それは残念だったな」
「どうしよう、テストマジでやばいかも…」
がくりとうなだれた後、可那子は泣き出しそうな顔で大吾を見る。
「大吾…」
「どうした?おねだりの仕方はちゃんと教えただろ?」
それを見てにやりと笑った大吾は、楽しそうに可那子の鼻をつつく。
「…なんか言い方がエロいよ。ていうか、放蕩息子のくせに頭いいとかずるいよね」
可那子がその指を握りながら言い返すが、
「そんなこと言える立場か?卒業できなくても知らねえぞ」
そう言われ、うっと言葉に詰まる。
そしてしばらくふくれっ面をしていた可那子は、そのあと悔しそうにそれを口にした。
「教えてください、大吾せんせい…」
そんな可那子を見て、大吾は満足そうに笑うのだった。
いつもはふざけていても、お願いすれば大吾はきちんと教えてくれる。
教え方も分かりやすく、可那子がちゃんとついてこれるように見ていてくれた。
「よし、少し休憩だ」
「ちょ、大吾…っ!」
ひと息ついたところで、大吾はそう言うなり可那子を抱き上げてソファに沈んだ。
後ろから抱きかかえられた可那子が必死にもがくが、そこから逃げ出すことはできない。
「どうだ調子、は…」
そこに柏木が顔を出し、その光景を見て固まった。
「…邪魔したな」
しかし直後、そう呟きながら開けたドアを閉めつつ後ずさる。
「待って待って!助けてよ修さん!」
それを見て可那子は必死に助けを求め、その声に柏木はため息をつきながら戻ってくる。
ふたりがいちゃつく分には問題なくても、放っておいたらそれ以上のことになりそうな気配を感じたからだった。
「ほら離せ大吾、この部屋はそのための部屋じゃないぞ。ヤるなら防音の部屋を使え」
しかし可那子を助け出しながらとんでもないことを言う柏木。
「了解」
それに対し大吾はまたにやりと笑い、可那子は真っ赤になる。
「修さ、むぐ…っ」
そして抗議の声を上げようとした可那子の口に差し入れの和菓子を放り込み、柏木は笑いながら部屋を出て行ってしまった。
「もう、大事な姪が手篭めにされそうになってるのに…っ」
「今さら、だろ?まぁ確かに最初は嘆いてたけどな」
今でこそ冗談も言えるようになったが、可那子が大吾と付き合い始めた当初の柏木は、組員たちも心配するほどの落ち込みようだった。
それを思い出しながら大吾はまた可那子を腕の中に抱き込み、
「ちょっと大吾ってば、や、ぁんっ!」
そのまま可那子の服にするりと手を滑り込ませる。
結局その腕から逃げ出せなかった可那子はそのまま大吾に抱かれ、組員たちは漏れ聞こえる声にいつものことと呆れながらも耳の置き場に困っていた。
そしてふたりも、その後いつものように柏木にこってりとお説教をくらうことになるのだった。
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