三島一八⑤
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私が望んだ場所へ、一八さんは連れて来てくれた。
ホテルの一室、一八さんと二人きり。
豪華な部屋にため息が出る。
けれど本当は、6畳の部屋でも私は構わなかった。
私が望んだのは、一八さんと二人きりになれる場所、それだけだったから。
「俺の時間には俺も込みだ。命令するなら今がチャンスだぞ」
ソファに体を沈め、どこか楽しげに笑う一八さん。
私は一八さんの隣に座った。
「抱きしめてください、一八さん…」
命令なんてだいそれたことはできないけれど、それでも自分の望みを私は口にした。
一八さんの手が私を抱き寄せ、強く抱きしめてくれる。
一八さんのあたたかさ、そして力強い鼓動にとても安心できて心地よかった。
そして一八さんの胸に額をすり寄せたその時、だった。
「――…っ!」
私は目を見開いた。
直後、一気に涙がこみ上げる。
一八さんの手が、やさしく私の髪をなでてくれた。
ただそれだけだったのに。
私はその涙を、こらえることができなかった。
「かず、や…、さん…」
「…言ってみろ」
一八さんの服の胸もとを握りしめたら、やわらかな声で促される。
「もっと――…、」
私はこの時ようやく気付いていた。
自分が考えているよりずっと、心が限界だったんだと。
どうしようもなく、一八さんを求めていたんだと。
「もっと…、そばに居てください…!」
瞬間、一八さんの腕に力が込められ――自分のわがままを一八さんに押し付けてしまった私は、自己嫌悪に陥る。
けれどそれを見透かしたような一八さんの言葉にはっとする。
「そして、そう言ったことを後悔するんだろう」
「一八さん…」
「お前らしい」
呆れたように言いながらそれでも、顔を上げた私の頬をなで涙を拭ってくれる。
一八さんの紅い瞳に視線を絡め取られ、目をそらすことができない。
一八さんが指で私の唇をなぞり、ぽつりと言う。
「…抱くぞ。ひと月分だ、覚悟しろ」
「、…っ」
私の返事は、一八さんの唇に呑み込まれた。
♪Happy white day♪
(14,3,1)
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