お題でバトン①
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本当の私(僕)
「大丈夫です、お父様」
「ご安心ください、お母様」
ずっとずっと、両親に望まれるままに物分かりのいい子を演じてきた。
そしてそれは当然、高校生になっても変わることはなくて。
具合が悪いと言って授業を抜け出したあたしは、屋上から曇った空を見上げてため息をついた。
「なんだ、珍しいヤツがいるな」
「…三島」
背後から声をかけてきたのは、クラスメイトの三島一八だった。
なんとなく隣に並んだ三島は、しばらく黙っていたかと思うと突然あたしに問いかけてきた。
「お前、いつもあんな愛想笑いばっかで疲れないのか?」
驚いて、ごまかすのを忘れた。
「…みんな気付いてるかな」
そう言ったら、三島はふはって笑う。
「やっぱり確信犯か」
「ほんとのあたしなんて、こんなもんだよ。
でも…いい子を演じるのに最近ちょっと疲れちゃったかな」
「演じなければいいだけだろう」
「それができたら苦労しないよ」
「そうだな、じゃあ俺の前では演じるな。俺は今のお前の方がいい」
「何それ、告白?」
「好きに取れ」
上辺だけを見て近付いてくる他の人とは違う、本当のあたしを見抜いた三島。
なんだろう。ただのクラスメイトだったはずの男子に――…
不覚にも、ドキドキした。