ヤキモチ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は三島一族の新年会。
恋人である可那子を必ず同行するように言われ、文句を言いながらも一八は可那子を連れて三島本家までやって来ていた。
ひと通り紹介は済んだものの、常々噂に聞いていた一八の恋人に李は興味津々だった。
一八が席を外している間に可那子の隣を陣取り、二人の関係を根掘り葉掘り訊ねる。
時折きわどい部分にも触れられ戸惑いながらそれでも、可那子は精一杯誠意を込めて相手をしていた。
それに、李の相手は困ったことばかりでもなかった。
時々は一八の幼少の頃の話なども聞けたし、それは可那子にとってとても嬉しく楽しいものだったから。
「失礼します」
話が一段落したところで、可那子はそう断り大広間を出た。
向かった先はお手洗いだったのだが、何せ屋敷が広すぎるため不安になりながら大広間へ続いているはずの廊下を歩いていた。
そこに角を曲がってきた一八の姿を見つけ、可那子は安堵の表情を浮かべる。
「よかった、迷っちゃうかと…、っ」
嬉しそうに駆け寄り見上げると、そこに一八の顔が近付き、そのまま唇が重ねられた。
すぐさま差し込まれた舌が、可那子の口内を這い回る。
突然の口づけに、うまく息ができない。
「…っ、か、ずやさ…っ、ん、ぅ…っ」
なかなか解放されないそれに、一八の胸もとを握り必死で応える可那子。
「一八、さん…?」
ようやく解放されたと思ったら、一八は背を向けて歩き出した。
乱れた息を整えながら小走りで追いかけ、可那子は問いかける。
「もしかしてヤキモチ、ですか…?、きゃ」
瞬間ぴたりと足を止めた一八の背中に勢い余ってぶつかった可那子を、首だけで振り向き不機嫌そうに睨む一八。
しかし言葉を発することなく、ふんと鼻を鳴らした一八はそのまま歩いて行ってしまう。
その背中を驚いた表情で見送った可那子は、その後ふふっとやわらかく笑う。
本当に、可愛いひと…
あたたかな想いが、可那子を包み込んだ。
1/6ページ