③
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「…めずらし。一八がいる」
明け方近くに目覚めた可那子は自分を包むのが布団ではなく一八だと気付き、そこからもぞりと起き上がった。
一八は片目だけでちらりと可那子を見て、またそれを閉じる。
「あたしあのまま寝ちゃったんだ、ごめん。一八、まだだったでしょ…?」
昨晩のことを思い出し、可那子は申し訳なさそうに言う。
「謝る必要はない」
すると一八も体を起こし、
「気を失うほど良かったんだろう」
そう言って喉の奥で笑う。
「――…っ!!」
途端に真っ赤になった可那子は、掴んだ枕で一八を殴った。
「ふん、そんなことはどうでもいい。それより今日はどうするんだ、今日くらい休みたいと言うならそれでもいいが」
今更と言えなくもないがそれでも一八にしては珍しい、可那子の体を気遣うようなセリフだった。
しかし、可那子はむっとした表情で言い返す。
「バカにしないでよね、これくらいで休むわけないでしょ!」
「頼もしいことだ。まぁ体力はあって困るものじゃないからな」
手にしていた枕をぽんと返し、そう言いながら一八はベッドから下りた。
「そうよ、それに仁を倒すためにはまだまだ足りないくらい」
「違う。俺が満足するために、だ」
服を羽織る背中に向かって可那子が言うと、振り返った一八はそう言ってのけ口角を上げる。
「――…っ!!」
一八らしいと言えばそれまでの身勝手な言い分に二の句が継げなくなった可那子は、返ってきたばかりの枕を力いっぱい投げつけた。
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