⑨
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「そろそろ来る頃だと思っていた」
「っ、どうして…」
あれから―一八に無理やりキスされてから―数日、体の奥が得体の知れない熱で疼き、可那子は眠れない日々を過ごしていた。
仁に抱かれる時に感じていたその感覚。
それとは少し違うけれど、確かにそれは性的欲求。
しかしそれより遥かに淫らで、甘美な疼きだった。
こんないやらしい自分が失った記憶の中にいたのかと考え続けることにも耐え切れず、どうすることもできなくなった可那子の足は自然一八の部屋に向かっていた。
しかしどうしてもドアをノックできない可那子の心を見透かしたように、内側からドアを開けたのは一八だった。
一八は知っていたのだ。
可那子の中のデビルが、自分を好んでいることを。
そう、一八の目的は可那子の中のデビルをたたき起こすことだった。
可那子の記憶などはどうでもいいと思っているつもりだった。
どちらにせよ、可那子を手放すつもりなどないというのに。
「来い」
捕まえるのではなく、一八は可那子に向かって手を差し伸べる。
覚悟を決めてこの部屋に来たはずだった。
仁が一八の名前を出した以上、一八が自分の失った記憶を取り戻すために必要な人間なのは確かなのだから。
おずおずと手を伸ばしてその手を取ると、
「や…っやだ、下ろし…、きゃあっ!」
その手をぐっと引き寄せた一八は可那子を抱き上げ、そしてベッドの上へと落とす。
「仁には優しく抱いてもらったのか」
組み敷かれてそう訊かれ、可那子は一気に頬を染めた。
それだけでも十分答えになっていたが、そもそも答えが欲しくて訊いたわけじゃない。
答えなど、抱けば分かるのだから。
一八は可那子の耳もとに顔を埋めた。
「ひゃ、あ…っ、あぁ…、んっ」
耳朶を食み首すじに唇を滑らせると、可那子はふるりと体を震わせた。
わずかに口角を上げ、鎖骨のあたりに自分の痕を残してから体を起こした一八は、
「優しくしてやるつもりはないからな」
そう言って可那子の服をはだけさせ、露わになったふくらみに唇を寄せた。
「あ…っ、ん、ふ…っ、」
胸を揉みしだかれ先端を転がされ、可那子は一八の頭を抱きしめて声を漏らした。
スカートの裾から差し込んだ手で下着を脱がした一八は、その指先を太ももの付け根に滑らせる。
そこを執拗にくすぐられ、焦れったさに可那子は一八の腕を挟んだまま太ももをすり合わせた。
「あぁんっ!」
その時それを待っていたかのように指を埋められ、可那子の体はびくんと大きく跳ねた。
武骨な指が中をまさぐる。
「あ、あぁっ、や、ぁん、…っ!」
――この人は、嘘つきだ…
いい所をひっかかれ時に強く抉られて声を上げながら、可那子は快感に支配されつつある脳の片隅で思っていた。
――抱き寄せる腕も、触れる唇も指も…こんなに優しいのに――…
「っあ、ああ!や、…ああぁ…っ!!」
直後、可那子はあっけなく達してしまう。
一八は可那子の体を開き、自身を宛てがった。
「…っ、ふ…」
濡れそぼった入口を先端でこすると、そこはひくりと物欲しそうに震えた。
「――…っ!!」
次の瞬間には最奥まで突き込まれ背を弓なりに反らした可那子だったが、快感と共に湧き上がる不思議な感覚に目を見開いた。
「待…って、三島さん…」
手を伸ばし、腰を掴む一八の腕に触れる。
指先をそれに滑らせながら可那子は呟いた。
「あたし、あなたを…この体を、知って、る…?」
「…自分で思い出すことだな」
一瞬の間の後わずかに口角を上げた一八は、言いながら激しく律動した。
そしてこの時の一八は、可那子の中が自分の形じゃなくなっていたことで、可那子が仁に抱かれたのだということを確信していた。
「や…っ強、い…三島さ、…あぁっ!」
触れていただけの腕にきりりと爪を立て苦しげに可那子が喘ぐと、
「…名前を、呼んでみろ」
少しだけ動きを緩めた一八が言う。
「かず…、や…?」
「そうだ」
言われるがままに名前を呼んだ時、可那子の中に確信に近い想いが浮かんでいた。
三島さんは、私の感じる所を知ってるみたいだった…
私はこの人を一八と呼んで…きっと一度や二度じゃなく、抱かれたことがあるんだわ――…
「あぁっ!あ、…っん、あ、あぁ…っ!」
そこで思考は強制的に中断させられた。
一八が先ほどより更に強く可那子の中を突き捏ね始めたからだ。
「や、あ…かずや、あぁ、…あっ、かず、やぁ…っ」
可那子は声を上げ切なげに一八を呼ぶ。
この時の可那子の中には仁は存在せず、ただ目の前の願望と欲望に翻弄されるだけだった。
記憶を取り戻したいという願望と、もっと気持ちよくなりたいという欲望。
自分のいい所を知っている一八が与えてくれる快感に、溺れてしまいそうだった。
「あ、や…かず、や…っ、あたし、もう…っ、ああぁ…っ!」
言い終わらないうちに、緩急をつけながら可那子の中をかき混ぜていた一八の動きが速くなる。
「あぁっ、か、ずや…かずや…っいや、あぁ…っ!!」
「…っ」
同時に可那子の中もきつく収縮し一八を強く締めつけた。
「一八っ、―――…」
小さくその名前を呼んだ可那子は、達すると同時に気を失っていた。
その中に一八も白濁を吐き出し、小さく息をつく。
そして自身を抜きぐったりと肢体を投げ出したままの可那子の頬に触れた時、その唇がかすかに動いた。
「じ、ん…」
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