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「仁を殺した後はどうするつもりだ」
デビルになれば飛べるとはいえ、さすがにその姿で仁のもとまで行くわけにもいかない。
一八が手配したG社のものではないヘリに乗り込もうとする可那子に、一八は問いかけた。
可那子が一八のもとにやって来た時から訊こうと思っていたことだった。
仁が可那子相手で動揺すればと考えなくもなかったが、おそらくそれでも可那子には仁は倒せないと一八は思っていた。
そしてこの質問に対する可那子の答えも分かってはいたが、それでもあえて言葉を紡ぐ。
「邪魔な仁をお前が殺してくれるなら、俺にとっても願ったりなんだがな」
「勘違いしないで。あたしはあんたの味方になったわけじゃない」
それに対し可那子はぴしゃりと言う。
「デビル化実験の被検体になることで、あたしはその力をもらった。それで契約は成立していたはずだよね」
考えていた通りの答えに一八は口角を上げた。
「せいぜい張り切ることだ。返り討ちにあわんようにな」
「あたしは負けない!だから仁の次は一八、あんたと…おじいちゃんよ」
可那子は一八をまっすぐに見た。
「あんたには感謝もしてる。だけどお別れだね、一八。次会う時は…敵どうしだよ」
どこか切なげな笑みを浮かべながらそう言った可那子を乗せたヘリは、轟音と共に仁に向かって飛び立っていった。
実験データは全て一八の手のうちにある。
可那子が仁に敗れ死んだとしても、一八にとっては痛くも痒くもない。
しかし自分の苦労を鑑みた一八は、仁を殺せなくてもせめてしばらく動けなくなるくらいの痛手は与えてやれ、程度のことを思ってはいた。
可那子に伝えることはなかったがそれでも、それは一八なりのエールだったのかもしれない。
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