③
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そこはとあるパーティー会場。
一八は以前に比べるとかなり頻繁に、そういった場所に姿を現すようになっていた。
そしてそこには常に可那子を伴う。
目的は、可那子の存在を周囲に知らせるため。
この行為は可那子を危険に晒すように見えるが、実際はその逆だった。
「あれは俺に迷惑がかかることを極端に嫌う。そういう状況になった場合、自ら命を絶つような女だ」
一八は可那子を本人のいない場所でこう紹介し、不敵に笑う。
一八が参加するほどのパーティーに、その言葉その笑みにこめられた真の意味を理解できないような人間はまず存在しない。
『そういう結果になった場合、貴様らに待っているのは未来永劫の地獄だけだ――』
――そう、一八の目的は可那子の存在とその人質としての意味のなさを周囲に知らしめるため、だった。
隠そうとすればするほど人は知りたがり、その存在を無傷で護ることは難しくなっていく。
人の心理を逆手に取りあえて隠さずその存在を知らしめることで、一八は可那子を護っていたのだった。
ただ一つ気に入らないのは、この方法を取るきっかけになったのが仁の起こした行動の結果だということ。
しかしそれすらも一八の可那子を護るという気持ちの妨げになるほどのものではなく、今回も隙あらばと一八の首を狙ってくる輩の牽制に一八は成功することになる。
ワイングラスを片手に一八は、そのお陰で本人の知らぬ間に有名になっていく存在を目で探す。
視線の先に捉えたその姿は、一八が以前既に牙を抜いた企業のCEOの隣にあった。
小さく笑みを浮かべ談笑していた様子の可那子は、しばらくすると男に軽く会釈をしその場から離れた。
向かった先は、化粧室。
化粧は直す必要もなかったが、軽く口紅だけひき直し小さく息を吐く。
一八と出逢うまでこんな世界とは無縁だった可那子は、この雰囲気に相変わらず慣れることができずにいた。
一八さんもそろそろ飽きた頃、かな…。
パーティーには参加するが、自分の目的が果たされれば長居は無用とばかりに帰ってしまう一八。
一八に逆らうということを知らずそもそもその本当の目的を知らない可那子が、気まぐれな一八の『飽きた』という言葉を信じて疑うはずもないのは無理のないことだった。
「一八さん…?」
化粧室を出た可那子を待っていたのは、他でもない一八だった。
一八は可那子の腕を掴むと、無言のまま歩き出す。
「え、あの一八さ…っ」
連れて行かれたのはすぐ隣の紳士用トイレ、腕を離してもらえたのはその個室の中だった。
「かず、…っ、ふ…、」
後ろ手に鍵をかけた一八に、その名を呼ぼうとした唇を塞がれる。
塗り直したばかりの口紅が一八の唇を彩り、それを指で拭う仕草に可那子は思わず見とれてしまいそうになる。
すると一八は可那子の体を反転させドアに押し付けると同時に、ドレスを捲り上げた。
「え?や、一八さ…こんな場所で…っ」
一八に逆らうということを知らない可那子でも、今回は場所が場所だけに焦りと抵抗を見せる。
しかし一八は相変わらず無言のまま、ショーツを下ろし取り出した自身をそこに突き入れた。
「や、あぁ…っ」
「声を出すとここで何をしているかバレるぞ?」
「…っ!」
笑みを含んだ声で囁かれ、続けてこぼれそうだった声を慌てて呑み込む。
しかし当然一八は動きを緩めたりはしない。
腰を抱き、最奥を抉るように突き上げる。
「…っ、ふ…、――…っ!」
このような場所でもいつもと同じように与えられる快感に、可那子は必死で声を殺した。
人の気配に怯え、瞳に涙をにじませながら振り返り何かを言いたげに一八を見る可那子を、一八は楽しげに口角を上げて見つめた。
そして可那子の限界が近いことを悟った一八は、人気のなくなった時を見計らって動きを速めた。
「あ…っ!ん、…―――っ!!」
一八をきつく締めつけながら可那子は、結局いつものようにあっけなくイかされてしまうのだった。
「も、立ってられない、です…」
今にも崩折れそうな可那子の弱々しい声に、一八はそこからずるりと自身を抜いた。
「一八、さん…?」
壁にもたれほっとするのと同時に、普段ならお構いなしの一八がそのまま身繕うのに少し驚く。
そして少しの物足りなさを感じる自分に気付き顔が熱くなるのを、可那子はドレスの裾を気にする素振りでごまかした。
「化粧を直したら来い」
そう言われ取り残された個室で、呼吸を整え身繕いをし化粧を直す。
周囲を気にしつつ外に出ると、入口で一八が待っていた。
「お待たせしました」
おそらく誰も入らないようにしてくれていたのだろうと嬉しく思い声をかけると、一八は可那子を見てくくっと笑う。
「おい、その顔をどうにかしろ」
「え?」
「エロい」
「…っ!?」
どこかおかしかったかと手を添えた頬が、思いも寄らない一八の言葉に一気に赤くなる。
同時に、一八が可那子を抱き上げた。
「一八さ…っ」
「顔を隠してろ」
「…っ、」
突然の行為に戸惑いを見せた可那子だったが、しかしその後は素直に一八の首もとに顔をうずめた。
「体調が優れんというからこれで失礼する」
一方的ではあるが一応の礼儀を通し、一八は可那子を連れて会場を後にした。
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