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「来い、出かけるぞ」
「え!?ちょっ、一八さ…っ」
連日続く暑さのせいで、一八の機嫌はすこぶる悪かった。
当然仕事場も部屋も快適なわけだが、移動の際の外気温が高いことが一八の気に入らなかったのだった。
「あの、どこへ…?」
「海だ」
部屋着のまま連れ出され、おそるおそる訊いた可那子に返された短い答え。
まさか海水浴場に行くのかとありえない想像をした後、ヘリに乗った時点でほぼ確信していた場所に降り立ち、可那子は困ったように笑った。
「…ですよね」
着いた場所は、一八のためのプライベートビーチ。
去って行くヘリを見送り視線を戻した可那子の目が、驚きに見開かれる。
「一八さん、何を…っ!?」
「泳がんのか」
一八は服を脱ごうとしているところだった。
イヤな予感しかしない可那子は、それでも一八に問いかける。
「下に水着…着ているんですか?」
「必要ないだろう」
何を言っているんだとばかりに服を脱ぎ捨てた一八の、厚い筋肉に包まれた上半身が露わになる。
「ままま待ってくださいっ」
部屋で、ベッドで脱ぐのとは状況が違いすぎる。
イヤな予感が的中し、焦る可那子。
一八はベルトに手をかけたところで動きを止め、ひとつため息をついた。
そして、
「溺れても知らんぞ」
「きゃあっ」
可那子を抱き上げ、ざぶざぶと海に入って行く。
「泳ぎは」
「たぶん、人並み程度には…」
「そうか」
「えっ、きゃあ…っ!」
答えた直後可那子の体がふわりと浮き、次の瞬間には水に沈んでいた。
「溺れたらどうするんですかっ」
慌てて水面に顔を出した可那子を楽しげに見ていた一八は、可那子の濡れた髪をくしゃりとかき上げ頬をなでた。
「安心しろ、その時はちゃんと助けてやる」
囁く一八が身を屈め、
「マウストゥマウスでな」
「ん…っ」
その唇は可那子のそれに重ねられた。
すぐさま差し込まれた舌に舌を絡めとられる。
「…っふ…、ん…っ」
腰を抱かれ、一八の裸の胸に体が密着する。
濡れて貼り付いた服の感触に、一八の体温を感じるための邪魔をされているようでもどかしかった。
しかしそんなことを考えているのを一八に悟られたくなくて、可那子は顔を隠すようにうつむき、呟いた。
「これ…人口呼吸とは言いませんよ…?」
けれど、一八にごまかしは通用しない。
「だがお前の体温は上がっただろう」
「…っ!」
可那子は一気に真っ赤になり、その顔を目の前のたくましい胸にうずめるのだった。
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