⑥
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いつもより大きな音を立てて扉が閉められる。
その音に驚いてそちらを見た可那子は、そこに立つ人物を確かめると安心したようにほっと息を吐いた。
「お帰りなさい、一八さん」
ソファから立ち上がった可那子は、しかしすぐにその一八の様子がいつもと違うことに気づく。
「一八さん?…どうか」
声をかけるのと同時だった。
「、一八さん…っ!?」
近付いた可那子の方へぐらりと体が揺れる。
「…大声を出すな」
かろうじて踏み止まり全体重を預けることはなかったものの、その肩口に顔を埋めた一八は苦しげに呟いた。
「一八さん、熱が…!」
部屋着の布地越しでも、腕を掴む一八の手がひどく熱いことが感じられた。
「薬を、」
「いらん」
「でも…っ」
「騒ぐな、この程度少し休めば治る」
崩れるようにソファに体を沈め、大きく息を吐いた一八が言う。
一八がこう言う以上、薬は絶対に飲んでくれないと思われた。
「おかゆか何か、」
「いらん」
ダメ元の質問にもやはり予想通りの答えを返される。
しかしその時ふとあることに気付いた可那子は、それらを早々に諦め一八の上着に手をかけた。
「、なにを」
「だったらせめて、服を緩めてベッドで休んでください」
されるがままに上着を脱ぎ、ふらりと立ち上がった一八は素直にベッドへと収まる。
可那子はそのままベッドの脇に腰掛けた。
「放っておけ、…何を笑っている」
その行動とそしてその表情に気付いた一八は、気に入らなそうに呟き憮然とした表情になる。
「ごめんなさい、…嬉しいんです」
「嬉しい?」
「一八さんが弱みを見せてくれたことが、です。だって、ここまで誰にも悟らせずに戻って来られたんですよね?」
一八の具合が悪いと分かっているなら必ずついてくるであろう黒服たちの姿がなかったことで、可那子はそのことに気付いていた。
そして柔らかく笑って続ける。
「だから、そばにいさせてください」
すると、黙って可那子を見ていた一八がすっと手を伸ばした。
「?」
分からないままその手を取ると、
「きゃあっ」
突然ぐっと強く引かれ、可那子は一八の胸に抱きしめられた。
「ダメです、ちゃんと休まないと…っ」
言いながら、一八の負担にならないように慌ててその体の脇に手をついて体を起こす。
しかし一八の手は可那子の腕と首の後ろをしっかりと捕まえていた。
一八は熱で潤んだ瞳を可那子に向けると、
「病人の頼みが聞けんのか」
「っ、そんな言い方ずるい、…っ!」
可那子が抵抗する間もなく、首の後ろに当てていた手を自分の方に引き寄せた。
重なる唇、滑り込んでくる舌。
密着する体、頬をなでる大きな手。
全てが熱を帯び、可那子の理性を溶かしていく。
風邪のせい、なのに――…
そう、いつも以上に熱く感じられる理由は分かりきっていた。
それなのに――…欲情、してしまう…!
「お前の息も…熱い」
ようやく離した唇で一八は言い、満足げにふ、と笑う。
「でも…っ」
それでも可那子は必死で、わずかに残った理性を働かせようとする。
その時。
「…可那子」
名前を呼んだ一八の指先が可那子の唇を滑る。
「…っ」
それに応えるように、そこからは熱い吐息がこぼれ落ちた。
近くにいれば必要ないためか、一八はあまり可那子の名前を呼ばない。
だからこそ、その効果は絶大だった。
「…本当に、ずるいです…っ」
こうなった一八の前に理性は存在できない。
これ以上抵抗することはできなかった。
抱き寄せられるままに可那子はもう一度、その唇を一八のそれに重ねた。
一八にまたがったまま、服を脱がされる。
一八は片手でふくらみを揉み上げながら、もう片方の手を腰に回した。
「もう少し、上に来い」
「え、一八さ…?っや、ああ…っ!」
言われるままに一八の腹の上をずり上がると、強く抱き寄せられた上半身の敏感な部分が一八の舌に絡め取られる。
自分からねだるような格好で与えられる快感に、恥ずかしさと気持ちよさでどうにかなってしまいそうだった。
「や、あ…一八、さ…んっ」
力が入らず、体を支える手が震える。
「もっと上へ…は無理か」
「…っ!無理、です…っ!」
どこか楽しげな一八の言葉の意味に気付いた可那子は、慌てて首を振る。
「そうか」
するとそれ以上無理強いはせず、一八はすっと手を伸ばした。
するりと可那子のお尻をなで、無防備だったその中心に指先を滑らせる。
「あぁぁ…っ!」
可那子は体を震わせ声を上げた。
熱く潤ったそこを音を立てて掻き回され、溢れた愛液が一八の腹にこぼれ落ちた。
「あ、ああ一八さ、は、あぁ、…っ」
本調子ではないためかいつもよりゆっくりと、しかしその熱さに確実に可那子の体は昂められていく。
「そのまま…来い」
「、はい…」
言われるままに可那子は体をずらし、いつの間にか取り出された一八のペニスを自分の中心に宛てがった。
「あ、あぁ…」
ゆっくりと腰を落とすと、一八の質量が少しずつ可那子の中を満たしていく。
根元までつながると、可那子はふるりと体を震わせた。
自分を見上げる紅い瞳に吸い寄せられるように身を屈めた可那子は、唇に舌を這わせた後ついばむようなキスをする。
そして少しずつ深く口づけながら、ゆっくりと腰を動かした。
「ふ…っ、ん、ぅ…っ」
腰を浮かせ落とすたびに中をこすり上げられ、ぞくぞくとした快感が可那子の体を走り抜ける。
じわりと広がる熱が心地よかった。
しかし一八にはそれでは少し物足りなかったようで、重なる唇の隙間からこぼれる声を呑み込むように口づけを深くした一八は
「んぅ…っ!ふ、ぅ…、ん…っ!」
加えて可那子を下から突き上げるように腰を動かした。
「あぁっ、ん…っあ、は…っあぁ…っ!」
たまらず体を起こした可那子は、背を反らし声を上げた。
体の中心に一気に熱がたまっていく。
「や、一八さ…っ、あ、やぁ…――っ!!」
一八を強く締めつけながら可那子は達し、それを見ていた一八はぐったりともたれかかる可那子の体を抱きしめたまま体を起こした。
つながったまま体位を変え可那子を組み敷いた一八が間髪入れず抽挿を始めると、
「あぁ…っ!や、ん…っ、あぁ、…っ!」
奥を突かれる強い刺激にしかし逃げ出すこともできない可那子は、腕を掴む手の熱さといつもより余裕のない一八の表情にぞくりとする。
一八の漏らす低い吐息といやらしい水音が可那子の鼓膜を犯し、さらに熱くなった体が強く一八を締めつけた。
「…っあ、ぁ…一八、さ…一八さん…、っあぁ…っ!」
「、…っ」
可那子が切なげにその名前を呼びながら達するのと同時に、一八はきつく収縮を繰り返す可那子の中に白濁を吐き出した。
一八自身としては自分も本調子ではなかったし無理をさせたとは思っていなかったが、疲れきった可那子は呼吸を整えているうちに寝息を立て始めていた。
「おい、ここで寝ると…、」
その時、可那子を起こそうとした一八の視界が一瞬くらりと揺れる。
「……」
熱が上がったんだということは、考えなくても分かることだった。
「後悔しても知らんぞ」
呟いた一八は可那子の隣に体を横たえ、その体を抱きしめて静かに目を閉じた。
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