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可那子の望み通り、一八は自分の好きなように可那子が限界になるまでその体を抱いた。
体を起こしベッドの枕元に背を預けた一八は、それに合わせて疲れきった体を起こそうとする可那子を抱き寄せ自分の体に寄りかからせた。
いつもの一八に抱かれていること、一八が戻ってきてくれたことを実感していた可那子だったが、しかしやはり、今日の一八はいつもとは少し違うとも感じていた。
しかしそれは決して不安になる類のものではなく。
可那子は目を閉じ、一八の胸にそっと額をすり寄せた。
「何も訊かないのか」
その時ぽつりとこぼれた一八の言葉に、可那子は少し驚きそして迷う。
一八が帰って来てくれたのだからもう十分だと思う反面、一八の全てを知りたいと思う欲張りな自分が生まれていたから。
「訊きたいことは、たくさんあります」
意を決して可那子は口を開いた。
「今までどこで何をしていたんですか、とか何故連絡をくれなかったんですか、とか…あの日、何があったんですか、とか…。恨みごとみたいですよね…ごめん、なさい…」
最後は消え入りそうになる可那子の声。
一八はふ、と小さく笑うと、
「謝る必要はない」
そう言った後、ゆっくりと話し始めた。
あの日何があったのか、今までどうしていたのかを。
あの日――一八が可那子を無理やり抱いた日――京都城で仁とあいまみえた一八は、デビルを支配した仁に重傷を負わされた。
仁にやられたことで気が立っていた一八は、帰り着いたそこで可那子を無理やり抱いてしまう。
人間に戻らなかったのはデビルの体の方が強いからなのだが、一八は可那子が気を失った後人間に戻ってしまう。
「何故…、あ…ごめんなさい…」
そこで当然の疑問を口にした可那子だったが、すぐに口をつぐむ。
人間に戻ってしまったことで限界を感じた一八は、デビル因子の研究をさせていたG社の研究施設に転がり込んだ。
そこでデビルの力を最大限利用し体の回復を図るため、一八は眠りについたのだった。
その時一八は箝口令を敷き、一切の情報を遮断した。
最大の理由は自身のこの状態を周囲に知られないためだった。
G社研究施設にいること自体を悟られないため情報は最小限に、そのため普段一八の身を護るSPや世話係の黒服たちにも知らされることはなかったのだった。
「そう、だったんですか」
どこか安心したように言いながら可那子は、一八の胸の大きな古い傷痕に指を這わせた。
その仕草を見ながら、一八は思い出していた。
あの時の可那子の泣き顔、そして恐怖に怯えた表情を。
次は一八が訊く番だった。
「お前は何故…俺を待っていた?」
「え?」
「あの時いやだと、怯えて泣いていただろう」
「っ、違います!」
そこまで聞いて、可那子は慌てて体を起こした。
「何者であっても一八さんだと言いました!こわかったのは一八さんじゃありません、一八さんが…いなくなってしまう、ことで…っ、」
思い出すだけであの時の恐怖、待ち続けた日々の苦しさが鮮明に蘇る。
落ち着いていた涙がまた溢れ出した。
「ごめ、なさ…」
慌ててそれを拭う可那子を、一瞬目を見開いた後小さく笑んだ一八は、もう一度その胸に抱き寄せた――。
→おまけ。