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早い時間から予定が入っている一八がシャワーから上がった時、可那子はまだシーツにくるまっていた。
その後しばらくして空が明るくなった頃、可那子はようやく目を覚ます。
ぼんやりとした状態のまま身じろぎすると腰に鈍い痛みを感じ、それが昨夜の出来事が夢ではないことを物語っていた。
しかし幸せに浸っていられる時間はそう長くない。
「起きたのか」
届いた声の方に目をやると、そこには白いスーツに身を包んだ一八が立っていた。
がばっと飛び起きたら体が悲鳴を上げたが、可那子は気丈に一八に向き直る。
「すみませんすっかり眠ってしまって…、おまけにベッドも占領…」
「気にするべきはそこではなく、今日が金曜だということではないのか」
しかしそれを遮った一八が、喉の奥で笑う。
途端に顔面蒼白になった可那子は、軋む体を必死に動かし慌ててベッドから下りた。
…所で、膝が崩れその場にぺたりと座り込む。
「――…!!」
「おい、どうした」
支えるのに間に合わなかった一八の手が、可那子の腕を掴んで立ち上がらせようとする。
その時、可那子は困ったように笑った。
足に力が入らない。
自分の体が自分のものじゃないように感じる。
一八の助けを借りてベッドの上に戻った可那子は、放心状態でぽつりと呟いた。
「今日、会社休みます…」
それを聞いた一八は、くっくと笑う。
「軟弱すぎだ。もっと体力をつけないとこの先つらいぞ」
「…っ」
一八の言葉の意味するところを理解した可那子は、ダメもとでお願いする。
「あ、あの、もう少し手加減を…」
「昨晩は十分手加減してやっただろう」
しかし口角を上げたまま言い放つ一八にそれ以上は何も言えず、可那子はぽすんと体を横たえた。
「すみません、もう少しここで休ませてもらっていいですか…?」
「午後には戻る。それまで十分に休んでおけ。明日は休みだからな」
「っ、あのそれはどういう…っ」
一八の言葉に体を半分起こして問いかけるが、踵を返して歩き出した一八はもう振り返らない。
「そういう、意味ですよね…」
再び枕に頭を落とした可那子はその背中を見送りながら――期待と不安の入り混じった声で、そう独りごちた。
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