①
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一八は決して優しくはない。
そもそも愛し合っている訳ではないのだから、なおのことその必要はなかった。
しかし可那子にとっては、一八にとってこの行為が意味のあるものかどうかは関係なかった。
所謂一目惚れをした相手、一八に抱かれる――、それ自体に十分意味があったから。
肌をすべる唇の柔らかさ
触れる手の熱さ
抱き寄せる腕の逞しさ
そして――…
「あ、待っ…、…――っ!!」
可那子の中心に宛てがわれた一八の屹立が間髪入れずそこにねじ込まれ、焼け付くような痛みに可那子は声にならない声を上げた。
「…はじめてか」
最奥まで一気に貫かれ、浅い呼吸を繰り返す可那子。
それを見下ろした一八は表情を変えないまま訊ね、しかし
「だがやめんぞ」
言って、律動を始めた。
「あ…っは、ん…っくぅ…っ」
狭くきつい可那子の中を、一八のペニスが道をこじ開けながら行き来する。
神経が全てそこに集中したかのように、自分の中の一八を可那子はリアルに感じていた。
可那子は目を開けた。
瞬間、紅い光が可那子を射抜く。
可那子はその頬に手を差し伸べた。
「キス、を…しても…?」
「……」
可那子の行動に動きを緩めた一八は、何も言わず上半身を屈めた。
重なる唇。
一八の首に腕を回し差し込まれた舌に自らのそれを絡めると、再び与えられる強い刺激も少しずつ快感に変わっていく。
そして繰り返される抽挿に昂められていく体。
「ふ…、ん、ぅ…っ、ぁ…」
唇の端からこぼれる吐息にも艶が混じる。
「あ…っ!?」
その体がびくりと震え、唇が離れた。
戸惑いの声を上げる可那子だったが、一八は動きを緩めない。
「や、やだ三島さ…っ、」
一八の首を抱いていた手を今度はその胸もとにあて、逃げ出したいような素振りを見せる。
初めて男を受け入れ快感を得始めた体に、未知の感覚が襲いかかろうとしていた。
しかしその素振りとは裏腹に、可那子の中は一八自身を更にきつく締めつけ始めていた。
だから一八は動きを緩めない。
「いや…三島さん、あ…いやぁ…っ」
さらに追い上げられ、可那子は泣き出しそうな表情で懇願した。
それを見て一八の口角がわずかに上がる。
「あ…っ!あ、や…ああぁ―――っ!」
びくり、とひと際大きく体を震わせ、可那子は絶頂へ達した。
「は…っすみま、せ…三島、さん…」
「何を謝っている…続けるぞ」
一旦動きを止めた一八だったが、それはすぐに再開される。
「あ、…っ!」
一八が再び律動すると、快感はイったばかりの体に何倍にもなって押し寄せる。
「あ…っ、――…っ!」
その後も可那子は何度も絶頂へと押し上げられる。
しかしその度に手の甲を噛み、声を殺して体を震わせた。
「…何故声を出さない」
気に入らなそうに言いながら、一八はその手首を掴む。
すると可那子はもう片方の手を口もとにあて、恥ずかしそうに答えた。
「私ばかりは、申し訳なくて…」
その言葉に、一八の瞳が妖しく光る。
「余計なことを考える余裕があるとは…優しくしすぎたか」
「えっそんな余裕なんて…っ、あ、あぁ…っ」
可那子の腰を掴んだ一八は、更に強く腰を打ち付けた。
容赦なく最奥まで突き込まれ、可那子の中に今までで一番強い絶頂の波が押し寄せる。
そしてそれは一八の中にも流れ込んできた。
きつく締めつける可那子に煽られる射精感。
「あ…っ、は、ぁあ…っ!あ、やぁ…っあぁ―――…っ!!」
一八が動きを速めると、気を失いそうなほどの快感に可那子は声を上げ激しくイった。
同時に、可那子の中には一八の精が注ぎ込まれる。
ドクンと脈打つペニスから吐き出されたそれを一滴残らず吸い取ろうとするように、可那子の中はきつい収縮を繰り返していた。
「は…っごめん、なさい…もう体…動かない、です…」
荒い息のまま可那子が言う。
一八は無言のまま可那子の中から自身を引き抜き、ベッドから降りた。
乱れたシーツを可那子の体にかけてやり、自分は棚から取り出したブランデーに口を付ける。
気怠い体をそのままに、目だけでその動きを追う。
厚い筋肉に包まれた逞しく美しい体に可那子は見とれた。
すると、目の前に何かが降ってきた。
はっとして枕もとに視線を移すと、そこには薄い長方形の携帯のような物と、G.corporationと金文字で書かれたカードがあった。
「これは…」
可那子はそれを手に取る。
携帯のようだと思ったものは、通話と終話ボタンのみのスマートフォンだった。
「直通の電話とこの部屋に来るためのパスだ。好きに使え」
うそ…と小さく呟いた可那子は、それをぎゅっと握り締める。
「信用してもらえたと…特別だと思ってしまって…、いいんですか…?」
「勝手にしろ」
「嬉しい…ありがとうございます…!」
可那子は幸せそうに笑み、そんな可那子を一八はじっと見つめた。
今の時点では、好意というよりは興味深い、と言った方が正しいかもしれなかった。
ここまでに至る行動、言動全てが今までにないタイプだったから。
そしてそのように感じる自分自身にも興味がわいた。
同時に、面白いとも思った。
一八は世界を相手に闘っている。
世界を手に入れるために。
一個人の、それも自分の野望になんら関わりのない人間に興味を持つなどありえないことだった。
自分の中の初めての感情と、それを一八に自覚させた可那子。
付き合ってみるのも悪くないと感じていたのだった。
「すみません、少しこのまま…休ませてくださぃ…」
「……」
ぽつりと言った可那子は、一八が何か答える前に寝息を立て始める。
ガウンを羽織りソファに深く沈んだ一八は、一人ブランデーを傾けた。