⑥
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目を覚ました時、可那子は一八の腕の中だった。
一八の腕に頭を預け、その腕に抱きしめられていた。
僅かに頭を動かす。
次いで身じろぎしようとしてみるが、一八の腕が解かれないため、それはかなわなかった。
そのため、一八が起きているのか確かめることもできない。
「あ、あの一八さん…」
遠慮がちに名前を呼んでみるが、一八は答えない。
ただ、少しだけ腕に力が込められた。
可那子は自然一八の胸に抱き寄せられる格好になり、僅かにあった二人の隙間が埋まる。
可那子は身じろぎをやめた。
体から力を抜き、一八の腕にそっとまた頭を預ける。
そしてゆっくりと目を閉じた。
まどろみの中、可那子は想う。
冷血な男だと言ったのは誰だったろう…、決して決してそんなことはないのに。
たとえ異形の血が流れていようとも…、ほら、彼はこんなにあたたかい――…。
その後、一八は仁に莫大な報奨金をかけた。
『あいつは、三島一八は俺の――…』
あの日の仁の言葉を可那子は思い出す。
父親。
一八は、仁の。
そして知る、三島家の血の宿命。
一八が三島一八である限り逃れられない…否、逃れるつもりもない、運命。
一八の子を産んだ女性の存在に対してではなく…親子で争い合うことが哀しかった。
一八を標的にする人物が、息子だということが。
しかし、可那子には口出しできないということも事実。
三島家の運命は彼らだけのもの。
可那子はただ祈るだけ。
争いのない世界の訪れを、彼の傍らで――。
→なかがき。