本当はすごく
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「ごめん…もう大丈夫」
そう言って海堂の胸をそっと押すと、海堂は少し腕の力を緩めた。
そしてあたしの顔を見た海堂は、ふは、と笑う。
「ひでぇ顔」
「ひどっ」
「待ってろ」
言って海堂は、新しいバンダナをミネラルウォーターで濡らして渡してくれた。
「冷やしとけ。今度こそ片付けたら送って行く」
「ありがと…」
草の上に座り、目もとを冷やす。
嗚咽で苦しくなるほど泣くなんて初めてのことで…なんか気恥ずかしい。
けど海堂は、それを何も言わずに受け止めてくれた。
海堂の心に触れられたことが、本当に通じ合えたと感じられたことが、すごく嬉しかった。
やっぱり海堂が好き。
海堂が大好き。
次々と浮かんでくるあったかい想いに、自然と口元が緩んでしまうのをあたしは抑えられなかった。
「帰るぞ」
そこに、荷物をまとめた海堂の声が届く。
「――…可那子」
「え?」
目もとを冷やしていたバンダナを外し、声の方を見る。
見えたのは、海堂の後ろ姿。
顔は見えないけど…耳が真っ赤。
つられてあたしも顔が熱くなるのを感じたけど、それより勝ったのは嬉しさの方で。
「うんっ」
あたしは勢いよく立ちあがって、その後ろ姿を追いかけた――。
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