不器用な恋心
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「ね、今日は朽木隊長のお誕生日だよ?」
どこか楽しそうな可那子が、恋次に声をかけた。
「…ああ、そうだな」
一瞬考えた後、恋次が答える。
「一緒にお祝いに行こうよ」
可那子は恋次を誘い、隊務が終わった後ふたりは揃って朽木家に向かった。
白哉は今日非番だったので、昼間のうちにお祝いの言葉を伝えることができなかったのだ。
「お前、それ用意してきてたのか」
「そうだよ」
にっこりと笑う可那子の手には、大きな箱が抱えられている。
プラス、腕に提げた大きな袋。
「それ…何入ってんだ?」
あまり聞きたくないが、恋次は思い切って聞いてみる。
「これはもちろんケーキだよ。手提げの中は、ケーキの付属品とかプレゼントとか」
「…付属品?」
ものすごく嫌な予感がするが、
「行けば分かるよ」
可那子はそれ以上は何も教えてくれなかった。
「朽木隊長、お誕生日おめでとうございまーすっ!」
通された部屋に入るなり、可那子は現世で手に入れたクラッカーというやつを派手に鳴らした。
大きな筆を手に書道をしていた白哉が固まり、その目の前をクラッカーの紙吹雪がはらはらと舞い落ちる。
暫くの沈黙の後、白哉はゆっくりと、可那子とその隣の顔面蒼白な恋次を見た。
「…おめでとうございまス」
白哉の刺すような視線を受けながら、恋次がおそるおそる口を開く。
「……」
白哉が何か言おうと口を開きかけたが、
「隊長にプレゼント持って来たんですよっ」
可那子がふたりの間に割って入る。
「隊長のはっきりした年齢が分からないので適当ですけど…」
と、ここに来る最中抱えていた箱に入っていた大きなケーキに、手提げ袋から取り出した大量のろうそくをこれでもかと立てていく。
「…私を馬鹿にしているのか」
そのろうそくに楽しそうに火を点けている可那子を見ながら、白哉の眉間のしわがますます深くなる。
「そんなことないですよぉ!それより隊長、はい!消して消して」
燃え盛るろうそくの立ったケーキを、ずいっと白哉の目の前に差し出す。
白哉は、脇に置かれていた自身の斬魄刀に手をかけた。
「…散れ」
言いながら、鞘から刀身を抜こうとした時。
「うおぉ隊長、落ち着いて下さい!俺が消しますからっ!」
瞬間的に白哉の隣に移動した恋次は、白哉の手を押さえると同時にろうそくの火を吹き消した。
「えー恋次が消しちゃ意味ないのにぃ!」
不満そうに口を尖らせる可那子を白哉が睨み付けるが、
「あ、そっか。隊長、甘いもの嫌いでしたっけ…ごめんなさい」
それを受け、可那子は少し落ち込んだような表情で言った。
「お前は黙れ!」
焦った恋次がそんなすっとぼけた可那子に向かって言う。
「すいません隊長、もう帰りますから…!」
「えーまだプレゼントが…」
「うるせぇ!これ以上隊長怒らせる気かっ」
相変わらず不満そうな可那子を追い立てるように、恋次は部屋を出ようとする。
とその時、廊下の方からばたばたと足音が聞こえてきた。
恋次が手をかけようとした襖が勢いよく開き、
「ここにいたのか、白哉!」
その人物は、そう言いながら満面の笑みと共に飛び込んできた。
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