クリスマスの約束
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「Merry Christmas!!」
部長・跡部のかけ声で始まったパーティーは大いに盛り上がった。
よく飲み(ジュースを)、よく食べ、そしてよく笑った。
鳳が宍戸に下剋上し、忍足と宍戸と芥川と樺地が不条理を歌い、拗ねた跡部を日吉が宥める。
向日にムーンサルトのコツを習っていた可那子は、勢い余ってそこらへんの色々をなぎ倒し、向日と一緒にけたけたと笑っていた。
「そうだ!プレゼント交換しようよ!」
とその時、突然我に返った可那子が叫ぶ。
「ああ、せやな。まぁ…」
「まぁプレゼント交換っつーか、お前にだ、可那子」
忍足の言葉を途中で奪い、跡部が可那子に綺麗にラッピングされたそれを手渡した。
「うそ、いいの?ありがとー」
嬉しそうに受け取る可那子と何故か勝ち誇った表情の跡部を交互に見ながら、
「たく、途中で割り込みよって…ほら可那子、俺からはこれや」
と、忍足が可那子の頭にぽんと小さな包みを乗せる。
「あー俺も俺もー。はい、可那子ちゃん、これあげるー」
「あれ、皆さんもですか?はい可那子先輩、これは俺と宍戸さんからです」
「ほら可那子、これ開けてみそ?」
「まぁせっかくですからね、用意してあげましたよ」
「メリー、クリスマス…です」
次々と手渡される抱えきれないほどのプレゼントに可那子は最初は驚き、そして満面の笑みを浮かべる。
「みんなありがとー、すっごく嬉しい!」
そして自分の持ってきた荷物を手繰り寄せ、
「ま、かくいうあたしも…みんなに、なんだけどね」
言いながら順番に中身を取り出していく。
「これは跡部と、侑士…がっくんにジロちゃん。宍戸…と、ちょた。樺地、…で、これが日吉ね」
ひとりずつプレゼントを手渡し、可那子は彼らからの『ありがとう』をくすぐったそうに受け取った。
その後騒ぎ疲れたメンバーたちは、跡部が用意してくれた最高級のロイヤルミルクティーを飲みながらまったりとした時間を過ごしていた。
「ね、そういえばさぁ…」
その時可那子がふと何かに気付き、
「みんな揃って跡部んちのパーティーに行けばよかったんじゃん?ごめんね、せっかくのお誘いだったのに勝手に断っちゃって…」
と、珍しく申し訳なさそうに言った。
「何だお前は、妙なとこでしおらしいな。んなこと誰も気にしちゃいねぇよ」
「そうですよ、可那子先輩!」
「せやな。それに、跡部かて気にしとらへんやろ?」
「ああ、こういうのも悪くねぇぜ。家でパーティーはいつでもできるが、このメンバーで集まれるのは最後かもしれねぇからな」
それを彼らが口々にフォローする。
が、
「ああ、誰かレギュラー落ちするかもだし?」
しおらしかったはずの可那子自身の、せっかくのフォローを台無しにするセリフに跡部を除くメンバーは苦笑い。
「ばか、違うだろ」
その跡部がまた、可那子の頭をくしゃくしゃとなでる。
「俺たちは卒業すんだよ」
「ああ…そっか」
その言葉に可那子は少し寂しそうに顔を曇らすが、
「でも、みんな高等部でもテニスやるんでしょ?」
と付け足し、笑みを浮かべた。
「じゃあじゃあ、可那子ちゃんももちろんまたマネージャーやるよね?」
芥川が身を乗り出して訊ねる。
「うん、できればいいと思ってるよ」
「そっか。じゃあ俺もテニスやる~」
「よし、一緒に頑張ろ!」
楽しそうな可那子と芥川を見ながら、全員の顔にも笑みが浮かぶ。
そこで可那子は、ひとつの提案をした。
「ね、じゃあ二年後!次は高等部のテニス部部室で、このメンバーで集まろうよ!」
「――いいな。参加資格はレギュラーであること、だな」
それを聞いた跡部がにやりと笑い、メンバーを見回す。
不敵な笑みを浮かべたレギュラーたちは頷き、ひとつの目標をその胸に刻んだ。
「高等部でもキングは俺様だからな」
「いつまでのお前の好きにはさせへんで」
「俺たちは一年後に追いかけますからね。下剋上です」
口々に話し出すメンバーたちを可那子は嬉しそうに見つめ、思う。
ずっと一緒に頑張って来た、大好きなみんな。
あたしの憧れであり、あたしの誇り。
これからもずっとそばにいさせてね。
これからもずっと、大好きだよ。
「…メリー、クリスマス」
小さな小さな可那子のつぶやきは、両手で包んだカップの中にゆらめくミルクティーにやわらかく溶けていった――…。
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