クリスマスの約束
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「宍戸さん、帰りに何か食べて行きませんか?」
その日の部活後、着替えをしながら鳳が宍戸に声をかけた。
それを聞いた宍戸は眉をひそめて
「お前、今日が何日か知ってるか?」
と問い、
「何日って…ああ!そうですね…」
「だろ?男ふたりで出かける日じゃねぇよ」
と、何かに気付いた鳳にため息混じりに言う。
今日――12月24日。
そう、クリスマスイブ。
街はきっと幸せそうな恋人たちで溢れていることだろう。
そんな風景を想像し、鳳もまた小さくため息をついた。
「じゃああたしも混ぜてよ。だったら問題ないでしょ?」
その時、ふたりの間に可那子が割り込んだ。
「な…っ!お前、着替え中に入って来んなよ!」
「いいじゃん、もう慣れっこだよ。減るもんじゃなし」
突然の可那子の登場に、宍戸が慌ててTシャツを頭からかぶる。
しかしマネージャーである可那子はそんなこと気にした様子もなく、
「ね、それよりどこ行く?ってゆーかさ、宍戸んちでパーティーとかよくない!?」
と勝手に話を進めて行く。
「たく、しゃーねぇな。ま、それでもいいけどよ」
呆れたように、しかし満更でもなさそうに宍戸が答えた時、
「なんやお前らヒマなんか。かわいそうにな」
背後から憐れみに満ちた声が割って入った。
「うるさいなっ、そういう侑士はどうなのっ」
声の主に食ってかかる可那子だったが、
「安心しい、俺もヒマや。せやから付き合うたるわ」
忍足はそう答え、にっと笑った。
そして横を振り向き、問いかける。
「岳人はどないする?」
「なんだよ侑士、お前もヒマなのかよ。じゃあ俺も行くぜ!」
声をかけられた向日は軽やかにぴょんと立ち上がり、
「ジローも来いよな」
と、隣に座っていた珍しくはっきりと覚醒している芥川に声をかけた。
「うん行く行くー楽しそうだC」
「なんだなんだヒマ人どもめ。じゃあ俺様の家のパーティーに来るか?」
芥川が嬉しそうに答えたところに、今度は忍足の声より更に憐れみに満ちた声が降りそそぐ。
「えー緊張するからいいよ。ってかさ、跡部がこっち来てよ!…だめ?」
跡部の豪邸での豪華パーティーより、全員一緒を望む可那子。
「ち、しょうがねぇな」
見上げる可那子の髪をくしゃくしゃとなで、跡部は心なしか照れくさそうに答えた。
「じゃあ樺地も一緒だね」
くしゃくしゃになった髪を直しながら嬉しそうに笑った可那子は、跡部の後ろを見る。
そこに控える跡部の幼なじみは、
「…ウス」
と素直に頷いた。
「じゃ、これで全…員じゃないじゃん!日吉ー?」
もうひとり足りないことに気付いた可那子は、わざとらしくその名前を呼んだ。
「何ですか」
「来るよね?」
「仕方ないから付き合ってあげますよ」
やれやれ、といった感じで答える日吉に、
「もー、生意気なんだから」
しかし可那子はそう言いながら、やはり嬉しそうに笑うのだった。
その時上がった
「おい!それはいいが…俺んちこんな人数入んねぇぞ」
という焦り気味の宍戸の声にも、
「そっか…じゃあここでいいんじゃない?一旦解散して、色々持ち寄ろうよ」
可那子はあっさりと答え、部長である跡部も無視してさくさくと分担を決めていく。
大人びて見えても彼らはまだ中学生。
「じゃ、また後で!」
と言い合い、これから訪れるであろう楽しい時間に心弾ませながらパーティーの準備へと向かうのだった。
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