罰を受けるなら
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「私は、そなたにも緋真にも詫びねばならぬな」
夜着のまま縁側の柱にもたれ、夜空を見上げながら白哉が呟く。
「白哉様…」
白哉のための羽織を手に戻ってきた可那子は、ふとその足を止める。
「いいえ、謝らなければならないのは私です…」
「可那子…?」
手にした羽織をぎゅっと抱きしめ、可那子は絞り出すように言う。
「緋真様から、白哉様を奪ってしまいました…。白哉様も…緋真様を、まだ…」
「それでもなお、そなたを愛した…私の罪だ」
立ち上がった白哉は、可那子に歩み寄るとその手から羽織を受け取り、それを可那子の肩にかけてやる。
そのままその小さな体を抱き寄せると、
「本当にすまぬ…。そなたにごまかしは通用せぬな」
言いながら、強く抱きしめた。
「50年…白哉様だけを見てまいりましたから…」
白哉の胸に包まれそのぬくもりを感じながら可那子は言う。
その声に包まれた露を感じ取り、白哉は可那子の顎に手を添え顔を上げさせる。
その頬には涙が伝ったが、それでも可那子は優しく微笑んだ。
「…お傍に、おいていただけますか…?」
白哉はこの時、少し前にルキアに言われた言葉を思い出していた。
『兄様…もうよろしいのではないですか?緋真様…いえ、姉様もきっと兄様の幸せを願っていますよ――』
この言葉の意味が、今なら理解できる。
ルキアは気付いていたのだろう、ということも今なら分かる。
まだ少なからず緋真を想う白哉を愛する可那子。
緋真にまだ心を残してなお、可那子を愛しいと思う白哉。
「永遠を分かち合えぬことを罪と言うなら、私は甘んじて罰を受けよう」
白哉は可那子をもう一度強く抱きしめた。
「ではその時も…共にお連れ下さいね」
可那子も白哉の背に腕をまわし、その体を抱きしめる。
先ほど雲に隠された月がまた顔を出し、ふたりを優しく包み込んだ。
やわらかな月の光が、顔を上げた可那子の涙にその身を留める。
吸い寄せられるようにその瞳に口づけを落とした白哉の唇は、そのまま頬をすべり微かに震える唇へと重ねられた。
お互いの熱が同じ温度となり、お互いの体へと伝わっていく。
ふたりはいつまでも抱き合い、その熱を感じていた――。
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