罰を受けるなら
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そして月日は流れ、あの出会いから50年が経っていた。
「いつも、すまぬ」
「いえ、これも私の仕事ですから」
あの日からひと月も欠かさず、白哉は月命日になると寺を訪れ、緋真の墓前に花を供える。
住職の孫娘として墓地の掃除や墓の手入れ等を嫌な顔一つせずにこなす可那子に、白哉も心を許していた。
そんな時に起こったのが、藍染達の反乱で幕を閉じた、白哉の義妹・ルキアの処刑騒動。
ルキアの命は助かったものの、皆無傷で…とはいかなかった。
白哉が大怪我をしたことも含め、可那子もその話は聞き及んでいた。
それでも、白哉は寺を訪れた。
「今日は元気がないな」
可那子の沈んだ様子に気付いた白哉が、声をかける。
「…ルキア様のこと、聞きました。白哉様のお怪我のことも…」
可那子は目を伏せ、言葉を紡いだ。
「大切な妹様が処刑されてしまうかもなんて…白哉様がどれほどお心を痛めたか、考えたくもありません…」
静かに涙の伝った可那子の頬に、白哉の大きな手が添えられた。
「そなたは相変わらず優しいのだな。出会った頃と…本当に変わらない」
白哉は可那子の涙を優しく拭い、そのまま可那子を自分の胸に抱き寄せた。
あまりにも自然な動きで、長い年月恋焦がれてきた白哉の腕に包まれた可那子。
「白哉、様…」
驚きのあまり身動きすらできず、ただ小さくその名を呼ぶことしかできなかった。
「思えば、そなたには随分と助けられてきたように思う」
穏やかな白哉の声が言葉を紡ぐ。
「そんな、私なんて何も…」
可那子が否定の声を上げるが、その言葉を更に否定するように白哉は続けた。
「何もしてくれなくともよいのだ。そなたの存在が、緋真を失った私の心を救ってくれたのだから」
「白哉様…」
白哉の瞳が顔を上げ白哉を見つめる可那子のそれを絡め取り、
「そなたさえ良ければ、これからも私の傍にいてくれぬか」
その言葉は可那子の心を絡め取った。
可那子の瞳から、せっかく止まった涙がまた溢れ出す。
「…はい…」
可那子は小さく答えてその瞳を閉じ、白哉はその目もとに優しい口づけを落とした。
「愛しています、白哉様…」
白哉の体にそっと寄り添い、可那子は誓う。
「これからも、ずっとお傍に…」
そして白哉は、それに応えるように可那子を強く抱きしめた――。