あなたの名を呼び、
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「柳生はいつからあたしを好きでいてくれたの?」
荒かった息が整った後もあたしを離さず、あたしの髪をなでる柳生に問いかける。
「……」
「柳生?」
「答えてあなたにひかれたくないので…黙っておきます」
「そんなに長いの!?それとももしかして昨日とか?」
すんなり答えてくれると思ってた質問に返ってきた意外な言葉に、あたしは思わず体を起こして彼を見下ろした。
「…ご想像にお任せしますよ」
自分も体を起こしてあたしをシーツに包みながら笑んだ柳生は、
「あなたにひとつ話をしておかなければなりませんね…可那子」
ふとその表情を真剣なものに変えて言った。
可那子、と名前を呼ばれ、そういえば結局あたしは彼を名字で呼んでることに気付く。
「あ…」
あたしが何を考えたかを悟った柳生は、いいんですよ、と笑った。
「私はもう遠慮しませんから、あなたを名前で呼びます。ですが…」
柳生はあたしを、自分の胸に包み込むように優しく抱きしめて続けた。
「私のものになってくれる気になったら、その時は私を名前で呼んで下さい」
分かった、って小さく答えてみたけど、もう既に呼んでもいいかもなんて思ってることは、もう少し内緒にしておこうかな。
そんなことを、心地よい彼の腕の中でぼんやりと思っていた。
ほら、柳生の片想い歴を聞くまでは、ね。
(12,10,19)
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