強い君と弱いぼく
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それは、約束した次の日。
約束の日の、前日のことだった。
『緊急警報!!現世にメノスグランデが大量に出現!十一番隊はただちに現世へ向かって下さい!また、四番隊は救護班を各地に展開し負傷者の救護にあたって下さい。繰り返します…』
瀞霊廷内に、警報が鳴り響いた。
「十一番隊…可那子さん、気を付けて…!」
花太郎は祈るような気持ちで可那子に思いをはせたが、今は花太郎も立ち止まっているわけにはいかない。
第十四上級救護班班長としてみんなをまとめ、現世へ赴くために走り出した。
一方の、花太郎が思いをはせた先の可那子たち十一番隊は、警報の数分後には穿界門を抜けていた。
臨戦態勢は整っていた。
既に空間凍結されたそこにひしめくメノスの群れに向かって、剣八を筆頭に可那子たちは戦闘を開始した。
十一番隊の面々は、次々とメノスを屠っていく。
可那子も負けじと敵を切り伏せ、隣で苦戦している隊士の援護に向かうため、消滅し始めたメノスに背を向けた時だった。
その背後に潜んでいた虚が凄まじい速さで可那子に襲いかかっていった。
「蔵本七席…っ!!」
援護に向かった先の隊士が叫ぶ。
振り返った可那子の斬魄刀が虚を切るより一瞬早く、その長く鋭い3本の爪が可那子の体を貫いていた。
「――…っ!!」
「蔵本七席ーっ!!」
声を上げる間もなく次の瞬間、可那子の体は地面に激しく叩きつけられた。
可那子は他の隊士に抱えられ、四番隊の展開している救護詰所まで運ばれた。
そこで忙しそうに動き回る四番隊隊士たちの中に、花太郎の姿はない。
霊圧を回復させるための結界の中に寝かされた可那子は、
『あーあ、しくじっちゃったなぁ。あたしが弱かっただけだから仕方ないけど…でも、こんなことなら…』
朦朧とした意識の中、ぼんやりと思っていた。
『こんなことなら、好きってちゃんと言っとけばよかったな…』
そこへ、重傷者に対応するため各救護詰所を廻っている卯ノ花が姿を現した。
卯ノ花は可那子に気付き、可那子の状態を確かめると
「どなたか、山田七席をここへ」
と指示を出す。
ほどなくして花太郎が息を切らして駆けつけて来た。
「可那子さんっ!!」
入り口を壊しかねない勢いで、可那子のいる天幕に飛び込む。
「卯ノ花隊長!可那子さんは…っ!?」
「落ち着きなさい、山田七席。なんとか一命は取りとめましたが、まだ予断は許されない状態です」
卯ノ花の言葉を聞き、花太郎の体に緊張が走る。
「ここからはきっと、私よりあなたの方が彼女の力になってあげられるはずです。任せて…大丈夫ですね?」
卯ノ花は、険しい表情の花太郎に向かい問いかけた。
「はい…!」
花太郎は力強く返事をし、それを聞いた卯ノ花は静かに天幕を出て行った。
花太郎は未だ意識のない可那子の傍らに膝まづくと、ありったけの霊力をその両手にこめた。
「絶対助けるからね、可那子さん…!」