愛しすぎて
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「なんで追いかけて来てくれなかったの?」
コート脇のベンチに並んで腰かけながら、可那子がふと口を開いた。
「…追いかけれんかったんじゃ。可那子のあのセリフは俺を行動不能にするのに充分な威力があったからの」
仁王は困ったように笑い、
「でもあの時ちゃんと追いかけてれば、幸村に罰を受けることもなかったわけか…ま、自業自得じゃな」
と、今度は自嘲気味に笑いながら続けた。
「だからそれにも怒ってメールの返事くれんかったんじゃろ?」
「それは違うの。確かに追いかけて来てくれなかったのは悲しかったけど、でもちゃんとメールか電話くれたら仲直りしようと思って、でも充電切れてるの忘れてて…」
仁王の問いに、可那子は慌てて答える。
「メールは朝見たんだけど今さら返事してもなって思ったから、部活終わるの待ってたの。そしたら幸村からメールきて…」
「今に至るわけじゃな」
仁王が何となく納得したようにそう言うと、
「でもここまでこじれたのは、あたしがちゃんと携帯見てなかったのも悪いんだし…結局お互い自業自得ってことだね」
可那子はそう答え、ふふ、と笑う。
その可那子の肩を抱き寄せて頭をこつんとぶつけ、仁王は安心したように笑った。
そして可那子の肩を抱いたまま立ち上がる。
「そろそろ帰るか。いつまでもこのままじゃ風邪ひくぜよ」
「うん」
可那子は制服だったが、仁王の着替えのためにふたりは部室へと向かったのだった。
「なんだ、結局キスはなしか」
「幸村くん!何を期待してるんですか!」
「いやぁそれにしても、制服でテニスとか…かなりエロいよな、見えそうで見えないとことか?」
「丸井くんまで…!」
「いやでも、見守りたいって言ったのは柳生だろぃ?」
「わ、私は純粋にパートナーの心配を…っ」
「まぁまぁ、いいじゃないか。みんな同罪ってことでさ」
「ですから、私は…っ!」
――出歯亀三人組。
その存在に気付いていた仁王は、部室に戻ってから思う存分、可那子とのキスを堪能したのでした。
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