消えない想い
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「これが準備室の鍵だ。終わったらここに戻しておいてくれ。じゃ悪いけど頼むな」
「はーい」
教科委員の可那子は、担任に次の授業に使う資料の準備を頼まれ社会科準備室に向かった。
「さて、ちゃっちゃと済まして帰ろ」
独り言ちながら鍵穴に鍵を差し込む。
すると、鍵の開く気配もないまま扉が開いた。
「…あれ?鍵開いてんじゃん。不用心だなー」
可那子は何の疑いもなく足を踏み入れる。
そして、目的の棚を探して奥へ進んだ時だった。
「きゃあっ!」
「え!?」
突如聞こえた女の声。
驚いてそちらを見ると、慌てて身繕う女生徒の姿があった。
「やだもう、ちゃんと鍵閉めといてよねっ」
「ああ、すまんの」
呆気にとられる可那子の横を、文句を言いながら通り過ぎて行く女子生徒。
それに対し別段焦った風もなく見送る男。
――…可那子の胸が、どくんと脈打つ。
銀の髪に包まれた端正な顔に妖艶な笑みを浮かべ、乱れた制服を気にもせず可那子を見るこの男は、隣のクラスの仁王雅治。
仁王は軽い男だった。
その綺麗な顔立ちに惹かれ、言い寄る女は数知れず。
その女たちを仁王は来る者拒まず、誰とでも寝た。
だけど誰にも本気になったりしない。
セックスフレンドにもなりえない。
何故なら、二度はないから。
しかしそれを分かっていても本気になってしまう、本気にさせる魅力が仁王にはあった。
だから言い寄る女は絶えず、泣く女も絶えることはなかった。
「ここが一番やりやすいんじゃ。黙っておいてくれたら、お前さんも抱いてやるぜよ」
言葉の出ない可那子に、仁王は悪びれもせずに言う。
――…反吐が出る。
「そんな見返り、いらない。あたし先生に頼まれてここに来たの。用が済んだなら出て行ってくれない?」
全てを見透かされてしまいそうな視線から目を逸らして可那子は言うが、
「冷たいのう。しかし俺の用はまだ済んどらん。俺はまだ…イけてないぜよ」
仁王に背を向け棚の教材を取ろうとしていた可那子の手首を掴み、その耳もとで仁王は囁いた。
「離して…っ!」
――…反吐が出る…!
「責任とってもらうぜよ」
「こんな場所でしてるのが悪…っん、やめ…、にお…っ!」
仁王は軽蔑の表情を浮かべる可那子の唇をふさいだ。
そしてネクタイで両手首をまとめ、スカートに手を差し込むとショーツを脱がす。
「やだっやめてよ…っ!」
――…こんな男に惚れる女の気が知れない…!
「大人しくしてればすぐ済むきに」
言いながら可那子の体を無理矢理押し倒し…
「いやあぁっ!!」
全くならされていないその中心に自身をねじ込んだ。
「キツい、な…」
仁王が呟くと、
「やだ…痛いよ、仁王…お願い、やめて…」
可那子は涙をぽろぽろとこぼしながら懇願した。
「…初めてか」
仁王が目を見開く。
しかし
「でもすまんの…やめては、やれん」
言うなり抽挿を始め、
「や、ああっ…んぅ…、く…ぅ」
痛みに顔をしかめ声を上げそうになる可那子の唇をふさぐ。
両手を拘束されたまま押さえつけられ、逃げ出すこともできないまま可那子は泣きながらただ耐えていた。
やがて、びくんと体を震わせた仁王は床に自分の欲を吐き出した。
荒い息のまま可那子の手首を縛るネクタイをほどき、涙を拭ってやろうとする。
が、可那子は自由になった手で仁王の手を払いのけ、体を起こした。
「出て行って。…早く!」
可那子が叫ぶ。
しばらくの沈黙の後、
「…悪かった」
小さくひと言残して、仁王は部屋を出て行った。
涙が止まらなかった。
自分の体を抱きしめ、泣きじゃくる。
そして可那子は、自分自身を嫌悪する。
――…反吐が出る…!
あんな男に惚れる女の気が知れない!
だからあたしは、…あたしの気も、知れない。
こんなことをされてなお、あんな男を愛しているなんて――…!
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