ペテン師の素顔
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「蔵本!日誌に漏れがあったぞ、たるんどる!」
背後から響く声。
「きゃあ!ごめんなさい真田…って、あれ?」
自分の名前を呼ばれたあたしは、めちゃくちゃ焦って謝りながら振り返る。
けどそこに立っていたのは、厳格な風紀委員長の真田弦一郎じゃなくて。
「ひっかかったナリ」
「仁王!」
勝ち誇ったように笑う、ペテン師と呼ばれる男、仁王雅治だった。
「もう!心臓に悪いからやめてって言ってるでしょ!」
「本物と偽物の区別もつかんのか」
あたしの抗議に呆れ顔で返し、
「あんたのはマジでモノマネの域を超えてんのよ!」
下手したらほめ言葉にもとられかねない、しかし精一杯の文句にも
「まだまだ修行が足りんぜよ」
と、全く動じる気配もない。
「…!なんの修業だーっ!」
あたしの声を軽やかにスルーした仁王は、笑いながら銀色の尻尾を揺らして去って行った。
あたしは3-A、仁王は3-B。
クラスは違えど、あたしたちは言うなればサボり仲間。
授業をサボって屋上に行く度に顔合わせてれば、会話もするし仲良くもなるってものだよね。
そんな日々の中で、一度聞かれたことがあった。
「お前さん、真田のこと好いとるじゃろ」
確かに真田とは委員会が同じで、よく一緒に行動はしていた。
その時は何言ってんの、なんて返したけど…そんなにあたし真田のことばっかり見てたかな?なんてちょっと焦ったのを覚えてる。
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