微笑
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俺は愛しておった。
しかしあいつにとっては、それが重かったんだと。
こうする以外、去って行くあいつを引き止める術が…俺にはなかったんじゃ。
何よりも大切にしていた恋を失った仁王は、そう言ってはらはらと泣いた。
銀の髪に縁取られた端正な顔を濡らす雫が、夕日に染まりながら舞い落ちていく。
泣き顔さえも、美しいと思った。
床に座り壁にもたれる仁王の前に跪いた私は、そっとその頬に触れ、涙を拭う。
仁王は動かない。
その頬を両手で挟み、目もとに口づける。
薄く開いたふるえる唇を指でなぞり、形よく並んだ歯列に触れる。
それでも、仁王は動かない。
ボタンを外しワイシャツをはだけさせると、綺麗に筋肉の付いたその胸もとにキスを落とす。
先端の小さな突起も丹念に舐めあげる。
そしてベルトを外し、ズボンの中に手を忍ばせると、そこにある塊に手を添えた。
仁王の体がぴくりと反応する。
わずかのうちに熱を持ち硬さを増したそれを、下着ごとズボンを脱がし、解放してやる。
そのまま口いっぱいにそれを頬張り、舌を這わせた。
唾液を絡ませ指先と手の平で刺激を与えながら、余った部分をもう片方の手で扱き強く吸い上げる。
直後、口の中に仁王の精が吐き出された。
むせかえりそうになりながらも私はそれを飲み干し、そのまま彼に跨った。
一度吐き出したくらいじゃ勢いを失わない彼自身をそこに宛がい、私はそれをひと息に呑み込む。
その後ゆっくりと腰を振り、私は自分の気持ちいい部分に仁王のそれを擦りつける。
しかしそれがもどかしかったのか、彼は私の腰を掴み、激しく突き上げて来た。
そして下から突き上げながら、仁王はうわ言のように繰り返した。
――失ったばかりの、恋人の名前を。
それでも、私はイった。
体の奥深くに、彼が吐き出した熱を感じながら。
何故なら、仁王が彼女を愛していたように、私は仁王を愛していたから。
荒く息を吐く。
それを整えながら、私の手は仁王の首にかけられていた。
「――…すまんの」
わずかに苦しそうな表情を見せ、一度は私の腕にかけられた彼の手から、力が抜けた。
哀しげな光を宿した瞳が静かに閉じられ、その頬に涙が伝う。
「愛してる――」
声に出したら、涙があふれた。
仁王は、微笑んでるみたいだった。
美しいと思った。
泣き顔さえも
――…今、この顔でさえも。
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