同じじゃなくていい
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イヅルが可那子の異変に気付いたのは、それからまたしばらく後のことだった。
いつものようにお互いを求め合った後イヅルはその肌に夜着をかけてやり、腕に抱きしめて眠りにつこうとしていた。
その時ふと、腕の中の体が震えていることに気付く。
「可那子、寒いかい?」
顔を覗き込もうとすると、可那子はイヅルの胸にしがみつき小さく首を振る。
その顔を自分の方に向けさせたイヅルは目を見開いた。
「どうして、泣いて…」
可那子は体を起こし、イヅルに背を向ける。
同じように体を起こしたイヅルが可那子の肩に手をかけると、可那子は呟くように言った。
「あと何をすれば、私は…“つぐみ”さんに…なれますか…?」
「何、言って…」
なぜ可那子がその名前を…?
イヅルは動揺を隠せなかった。
しかし振り返った可那子は、イヅルの返事を待たず言葉を続けた。
「イヅル様が私を見ていないのは分かってました…私の中に、いつも誰かを探してる…」
「…そんな、こと…」
そして、それ以上言葉の出ないイヅルににこりと笑ってみせる。
その口から出た言葉に、イヅルは胸を締めつけられた。
「でもそれでいいんです。誰かの身代わりでいい…それでも、イヅル様のそばにいたいんです…」
「ごめん…!」
イヅルは可那子を強く抱きしめた。
可那子が愛しい。
愛しくてたまらないのに――
つぐみの身代わりなんかじゃない
そのひと言が、イヅルには言えなかった…。
可那子が泣き疲れて眠ってしまうまでその体を抱きしめ、可那子が目覚める前にイヅルはそこから逃げるように瀞霊廷へと戻ったのだった。