同じじゃなくていい
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流魂街に出現した虚を退治するため、護廷十三隊三番隊副隊長・吉良イヅルは、一緒に居た同九番隊副隊長・檜佐木修兵と共に現場へと向かった。
駆け付けた時、虚は一人の少女めがけて鋭い爪の付いた手を振り下ろそうとしていた。
次の瞬間修兵がその腕を切り落とし、ほぼ同時にイヅルがその頭を切り払う。
「君、大丈夫?怪我、は…」
イヅルが少女に手を差し伸べると、少女は顔を上げた。
その顔を見たイヅルの動きが止まる。
「吉良?…!!」
それに気付きイヅルの視線を追った修兵も、息を呑む。
「嘘…だろ…?」
虚に襲われてへたり込んでいた少女は、二人の様子を不思議そうに見上げた。
そして、差し伸べられたその手を取ってもよいものかと困惑した表情を浮かべる。
「ああ、ごめん。さ、立てるかい?」
「ありがとうございます…」
はっと我に返ったイヅルは、おずおずと伸ばされた少女の手を握り立ち上がらせた。
「生きていたのかと、思いました…」
帰り道、ぽつりとイヅルが呟いた。
「ああ…ありえねえのにな」
修兵もまだ信じられないといった様子で答える。
先ほど助けた少女は可那子と名乗った。
可那子は生き写しだったのだ。
3年前、イヅルが失った恋人…つぐみに。
そしてつぐみは、修兵の血の繋がらない妹でもあった。
しかし、確かにありえないのだ。
3年前、つぐみは――病のため亡くなったのだから。
そしてそのつぐみを看取ったのは、他でもないイヅルと修兵なのだから。
「…大丈夫か?吉良…」
「え?あ、はい…大丈夫です」
イヅルを気遣う修兵にイヅルは答えたが、その心の内には修兵には言えない想いが生まれていた。
修兵と別れた後イヅルは流魂街にとって返し、可那子の元へ急いだ。
帰ったはずのイヅルがまた目の前に現れ可那子は少し驚いていたが、すぐに気を取り直し、先ほどはありがとうございましたと礼を述べた。
はにかんだ笑みもそっくりだった。
本当に生き返ったのではないかと錯覚してしまうほどに。
イヅルは意を決して口を開いた。
「これからは君を、僕に護らせてくれないかな。…一目惚れ、しちゃったみたいなんだ」
突然の告白に驚いてしばらくイヅルを見つめていた可那子は、その後ふわりと笑い、ありがとうございます、よろしくお願いしますと答えた。
修兵には言えなかった。
だから、誰にも内緒の付き合いが始まった。
何故なら、噂は一瞬にして広まってしまうから。
ただ、副隊長であるイヅルは忙しく、思うようには会えなかった。
しかし
「護ると言ったのに…なかなか来れなくてごめん」
そう言って謝るイヅルに、可那子は首を横に振る。
「会えない日がある分、会えた時により大きな幸せを感じることができますから」
その言葉にも助けられ、二人は心安らぐ日々を過ごしていた。
そしてその日々がこれからも続くのだと、何の疑いもなく信じていた。
そんなある晩のことだった。
「つぐみ…っ!」
イヅルはその自分の声で目を覚まし、はっと気付いて隣を窺う。
静かに寝息をたてる可那子の様子にほっとしつつ、そっと抱き寄せ、もう一度目を閉じた――…。
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