ずるいことしなくても
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「大丈夫かい?可那子…」
体を起こした幸村は唇の端を指先で拭い、舐め取った。
その仕草と自分に向けられた妖艶な笑みに、可那子のお腹の奥がどくんと脈打つ。
「はい…」
小さく答えた可那子は、イかされたばかりの自分の体がそれを知ってしまう前より強く、幸村を求めていることを戸惑いながらも感じ取っていた。
もっと幸村に触れたい、という衝動にかられ、手を伸ばしそうになる。
それを抑えようとすると、まだ少し荒い呼吸の中に知らず熱い吐息が混ざる。
しかしそんな可那子の様子に気付いていながら幸村は
「ごめんね、可那子…。もうしないから」
と、可那子の頬を撫でた。
え?と見上げる可那子に、幸村は自嘲気味に続けた。
「だって嫌だろう?こんな場所で、好きでもない男に処女を奪われるなんてさ」
「そんなこと…っ」
可那子は自分の頬を包むあたたかい手をきゅっと握り、消え入りそうな声で呟いた。
「そんなこと、ありません…」
「それはどういう意味?」
幸村は可那子の顔を覗き込む。
「こんな場所でも、誰とでもいいから、続きをしたい?」
「誰でもよくなんてないです…」
可那子はふるふると首を振る。
「じゃあ誰にしてほしい?…俺がしてもいいの?」
ずるいよな、俺…。
そう思いながら幸村は問う。
可那子は幸村の予想通り、顔を真っ赤にして小さく頷く。
幸村は狙っていたのだった。
可那子の体に快感を覚えさせ、その場の流れでいいから、可那子が自らその先を求めることを。
そう、それだけでよかったのだ。
たとえ雰囲気に流されただけなのだとしても、自分を求めてほしかった。
「可那子の口から、ちゃんと聞かせて?」
今だけでいいから、自分を求めてほしかった。
そしてそう願う幸村の耳に届いたのは、幸村が望んだ以上の答えだった。
「…幸村先輩じゃなきゃ…イヤ、です…」
それを聞いた幸村は愛おしそうに可那子を抱きしめ、優しく髪を撫でる。
そしてその体をそっと横たえると、ベルトを外し取り出した自身を可那子の中心に宛がった。
「力、抜いて」
「せんぱい…」
可那子が不安そうに幸村を見上げる。
まずはゆっくりと腰を押しだすと、くち、と先端が埋まる。
「…っ」
可那子がわずかに顔をしかめた。
「俺を見て?可那子…」
幸村は可那子の頬を撫で、親指で唇をなぞる。
そこに優しくキスを落とすと、ゆっくり、しかしひと息に腰を推し進めた。
「あ、あぁ…っ!!」
可那子は声を上げ、幸村にしがみつく。
生まれて初めて受け入れた異物を、可那子の中はきゅうきゅうと締め付けた。
本当は押し出したいのかもしれないが、緊張と痛みとでそれもままならない。
「きつ…」
その強さを感じながら幸村は、可那子の目からこぼれた涙を拭った。
「幸村、先輩…」
「ごめん…もう、やめてあげられない」
「は、い…」
可那子は幸村の制服の二の腕あたりをきゅ、と握る。
幸村は、ゆっくりと腰を引いた。
そして少し強めに推し出す。
「…っ」
「可那子…可那子、好きだよ…」
幸村は囁き、抽挿を繰り返した。
可那子のいい所を探りながら緩急を付け、じらすように動きながら時に最奥を抉った。
するとそのうち、可那子の漏らす声に艶が混じり始める。
「あ…せん、ぱい…っ、ん…ふ」
痛みとは違う、こみ上げる何か。
でもその正体を可那子はもう知っている。
そして幸村の動きに合わせ、それはますます強くなっていった。
「あ…や、幸村せんぱ…っ、あ、んっ」
可那子は幸村の首に腕を伸ばし、身を屈めた幸村にしがみつく。
更にきつく締めつける可那子の中に、幸村は射精感を煽られる。
「…ね、可那子…名前、呼んで…?」
言いながら、動きを速めた。
「あ…っ精、市…?」
「そう…もっと呼んで…。一緒にイこ、可那子…っ」
更に速く、強く突く。
「や…だ、精市…せ、いちぃ…あぁ…っ!」
「っ、可那子…!」
どくん、と。
幸村は可那子の中に、熱い迸りを注ぎ込んだ。
その熱に満たされ、可那子の瞳からはぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
「…ごめん、可那子…泣かないで」
それに気付いた幸村が涙を拭ってやるが、可那子はその手を握りしめふるふると首を振った。
「謝らないで下さい、嬉しいんです、あたし…。幸村先輩を、こんなに近く感じられて…」
「可那子…」
えへ、と照れたように笑う可那子を見た幸村は、自身がとくんと脈打つのを感じた。
直後、その変化は可那子にも伝わる。
「先輩…っ」
「可那子が誘うようなこと言うからだよ」
恥ずかしそうに身じろぎする可那子に幸村は軽くキスを落とす。
「それに可那子の中、別の生き物みたいに俺のことすごい締めつけるしさ」
「そんな、あたし…っ」
可那子はますます顔を赤くする。
「フフ、ほんとに可那子はかわいいな…」
幸村は優しく笑み、そんな可那子を抱きしめた。
そして可那子は、耳もとで囁かれた言葉にその体を抱きしめ返すことで答えるのだった。
「もう離さないよ、可那子。覚悟してね…?」
→おまけ。