③
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「まだ、自分で歩けるから…っ」
グリムジョーの手をとった可那子のその小さな体を、グリムジョーは直後に脇に抱え歩き出した。
可那子が焦って言うが、グリムジョーはそれには答えずただ外につながる扉に向かって歩く。
そしてその扉を開けた瞬間ふたりの姿は掻き消え、目的の場所まであっという間に辿り着いた。
「この辺うろうろしてても平気かな…」
砂の上に下ろされた可那子が尋ねると、
「うろうろしたって何もねえぞ。まぁ俺の霊圧でこの辺一体に虚どもは近付いてこねえだろうから、好きにしな」
グリムジョーはそう言い残し、崩れた石柱の上に寝転んだ。
可那子は物珍しそうに、石英のようなものでできた細く尖った植物らしき何かを折り砕いてみたり、崩れた石柱や残骸物の積み重なる山によじ登ってみたりしていた。
そして大きな岩にもたれて息をつき、ふと気配を消してみる。
しばらくそのままでいると、突然グリムジョーが目の前に現れその霊圧に全身を包まれた。
「逃げようとしてんのか?」
「きゃあ!」
可那子は驚いて声を上げたが、
「違うよ…でも、なんでここにいるのが分かったの?」
その後グリムジョーの問いに問いで返す。
「てめえの霊圧が弱くなったから見に来ただけだ。気配消したつもりでも、俺には通用しねえ」
こともなげにそう答えた後、グリムジョーは何かを思い出したように可那子を見た。
「そうか、それで虚どもから逃げ出せたわけか。
と納得したように言う。
「あまりにも強い霊力を抑えるための手段だって、祖父が教えてくれたの」
自分の力についてそう簡単に説明した後
「でもやっぱり…グリムジョーには分かっちゃうんだね」
と言った可那子の声には、安心したような、どこか嬉しそうな、そんな響きが含まれていた。
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