⑭
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あの日から―グリムジョーが可那子を取り戻してから―三日が経っていた。
「可那子っ!」
グリムジョーの腕に抱かれ虚夜宮に帰ってきた可那子に、声を揃えて駆け寄って来る桜介と蘭丸に対し
「お前らは後回しだ。部屋には誰も近付くんじゃねえぞ」
と言い放ったグリムジョーは、
「待ってグリムジョー!桜介、蘭丸…っ」
可那子の声にも耳を貸さず、そのまま部屋にこもった。
「もう、グリムジョーってば…」
ふたりと言葉も交わせないまま部屋に連れ込まれ、少し拗ねたような可那子をグリムジョーは強く抱きしめた。
「グリムジョー…?」
可那子が小さく問いかけるがグリムジョーは何も答えず、ただ腕の中の存在を確かめるようにその腕に力を込める。
「――…」
そのグリムジョーの想いを強く感じ取った可那子は、小さく笑むとその体を抱きしめ返した。
静かな部屋の中、ふたりの鼓動がひとつになる。
グリムジョーは腕の力をわずかに緩めた。
それに気付いた可那子はグリムジョーを見上げると、自分を見つめる花浅葱色の瞳をまっすぐに見つめた。
愛しくて何故か切なくて、涙がこみ上げる。
それをごまかすようにグリムジョーの首に腕を回し、可那子は口づけをせがんだ。
初めはそっとついばむように。
しかしその唇が確かに自分の知るものだと確信した後は、お互いの吐息さえも漏らすまいと、ゆっくりと深く求め合った。
そして抱き合い唇を重ねたまま、ふたりの体はやわらかなベッドへと堕ちてゆく。
今のふたりの意識には、お互いのみが存在していた。
それはあたかも、己の半身を求めるかのように――…。
1/2ページ