⑫
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ほどなくして、藍染の空座町侵攻が始まる。
護るべきもの、唯一護りたいものを失ったグリムジョーは、再び破壊神に取り憑かれその力をふるった。
その中で好敵手にめぐり逢い戦いに没頭していたグリムジョーだったが、僅かに力及ばず敗れてしまう。
可那子もグリムジョーもいない虚夜宮で、桜介と蘭丸はグリムジョーの霊圧が弱まるのを敏感に感じ取った。
「グリムジョー!!」
ふたりは拙い響転を使いながら、傷付き息も絶え絶えに倒れ伏したグリムジョーの元へ駆け寄った。
「グリムジョー、ねぇ、死んじゃダメだよ…っ!」
グリムジョーの肩を揺さぶりながらふたりが叫ぶと、
「…ぅるせ…」
聞こえるか聞こえないかの声が、グリムジョーの唇からこぼれ落ちた。
「耳もとで騒ぐな…まだ、死んでねえ…」
心の底から安心しほっと息をついたふたりは、血まみれでどこが傷なのかも分からない状態のグリムジョーの体を抱え、やっとの思いで虚夜宮に帰り着いた。
しかしそのまましばらくは動くこともままならない日々が続き、その間グリムジョーは何も口にせず…そして口もきかなかった。
助かったとはいえ傷は深く、虚圏の霊子だけではいつまでたっても傷は癒えてはくれない。
「ね、グリムジョー」
桜介と蘭丸には、グリムジョーに伝えなくてはならないことがあった。
グリムジョーの体のことを考えたらまだ言えないとも思ったけれど、伝えることでそれが生きる力になるのなら…。
そんな祈りのようなものも込めて、ふたりはお互いの顔を見合わせ頷き合うと、手を繋ぎグリムジョーを呼ぶ。
ゆっくりと動いたグリムジョーの視線が、ふたりを捉えた。
「ぼくたちがこれから何を言っても、その後ちゃんと、ぼくたちの言うことを聞くって約束してくれる?」
ふたりは自分たちの声に反応を示してくれたグリムジョーに少し安心したように言葉を続けたが、
「ふざけんな…なんだ、言え」
その願いにグリムジョーは一切取り合わず、先を促した。
ふたりはもう一度お互いの顔を見合わせ頷き合うと、声を揃えた。
「可那子は――…、生きてる」
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