⑦
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息も切れ切れに、可那子はグリムジョーの宮まで帰り着く。
部屋に飛び込み扉を閉めると、扉を背に大きく息を吐き出した。
「可那子?お前、なんでここにいるんだ」
そこにいきなり声をかけられ、可那子の心臓は大きく跳ね上がる。
「グリムジョー…!?」
今日はまだ、任務から戻っていないと思っていた。
いや、普段ならその霊圧で気付いたはずだったが、今の可那子はそれすらも感じ取れないほどに動揺していた。
そしてその場から逃げ出すこともできないほどに。
グリムジョーが可那子に歩み寄る。
「おい、どうした?」
「や…っ」
グリムジョーが伸ばした手に、可那子はびくっと体をすくめた。
「あ…」
直後、自分のその反応に戸惑ったように声を漏らす。
驚きに目を見開いたグリムジョーは、ふと可那子が自分の胸もとを隠すように抱いているのに気付く。
「やだ…っ」
その手首を掴み広げさせたグリムジョーの目に映ったのは、胸のあたりまで引き裂かれた死覇装。
「あの野郎…!」
グリムジョーの霊圧が一気に上がる。
しかし、
「待って!グリムジョー!」
可那子はその瞬間にも響転で消えてしまいそうなグリムジョーの死覇装の裾を、かろうじて掴んだ。
「あたしが悪いの!無防備すぎるって言われて…」
望んでふたりきりになったわけじゃない。
だけど、その状況を作り出した原因は自分にもある。
グリムジョーは、可那子に向き直った。
「だから、だけど…自分勝手だって分かってるけど…!」
グリムジョーの死覇装を握りしめたまま、絞り出すように言う可那子の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちる。
「可那子…」
と、グリムジョーが何かを言うより早く、
「あたしのこと、嫌いにならないで…!」
可那子が叫んだ。
スタークより、スタークを殺してしまいかねないグリムジョーより、怖かったのはグリムジョーを失うこと…。
そしてそれはグリムジョーも抱く想いで――…。
「馬鹿野郎…それができりゃ苦労しねえんだよ」
言いながらグリムジョーは、可那子を抱き寄せ強く抱きしめた。
「ごめんなさい、グリムジョー…」
グリムジョーの死覇装を握っていた可那子の手が、その背に回される。
グリムジョーは抱きしめる力を緩めると、未だ止まらない可那子の涙を拭ってやる。
遠慮がちに見上げた可那子の視線を花浅葱色の瞳で絡め取ると、顎を掴んで上向かせ、唇を重ねた。
「待っ…グリム、ジョー…ん、う…」
息もできないほどに激しく口づけられ可那子が苦しげに声を漏らすが、グリムジョーは力を緩めない。
そのまま更に奥まで口内を犯され続け、可那子は立っているのもやっとなほどに昂められていく。
「おい、まだイくなよ」
可那子の漏らす切なげな浅い吐息と震える足に気付き、唇を離したグリムジョーは不敵に笑う。
そして可那子が身に付けている全てを引き裂き、剥ぎ取った。
「やだっ、グリムジョー…っ!」
ベッドで裸になるのとは違い、恥ずかしそうに身を屈めようとする可那子の手首を掴み、壁に貼り付ける。
「忘れろ」
首すじから胸もとにかけて付けられた痕を忌々しげに見ながら、グリムジョーが低く言う。
「そして覚えておけ…お前は、俺のもんだ」
そのまま首すじにかみつくように舌を這わせると可那子の片脚を抱え上げ、
「シルシぐらい、いくらでも刻みつけてやる…!」
吐き出すように言いながら、その昂ぶりをねじ込んだ。
「や…あっ!あぁ…っ」
間髪入れずに激しく突き上げられ、可那子は声を上げながら必死でグリムジョーにしがみつく。
「や…グリムジョー…もう、イって、い…?」
しがみつき、グリムジョーの耳を噛む。
グリムジョーの背中を、ぞくりとした快感が走り抜けた。
「いいぜ…イきな」
スタークへの怒りにまかせて可那子を抱いたグリムジョーも、限界が近かった。
速めた動きに合わせてふたりは昇り詰め、
「あ…っ!ん、あぁ…っ」
切なげに啼いた可那子の中がグリムジョーを締めつけると、それに促されたグリムジョーの熱い白濁が可那子の奥へと注がれた。
浅い呼吸を繰り返しその場に崩れそうになる可那子を、グリムジョーは抱き上げベッドへ運んだ。
裸の体に布団をかけてやると、可那子はそれを抱きしめるように丸くなり、グリムジョーはその枕もとに腰掛ける。
あの時、思ったより早く任務の片付いたグリムジョーが部屋にいたのは偶然だったが、今はいてくれてよかったと可那子は思っていた。
ひとりでいたら、不安と恐怖で押しつぶされてしまったかもしれないから。
そしてグリムジョーも、任務が早く片付いてよかったと思っていた。
不安と恐怖で押しつぶされた可那子が、消えてしまわずにすんだから。
しかし――…。
「可那子、お前…」
グリムジョーは、可那子がこの部屋に戻って来た時からひっかかっていたことを尋ねた。
「あいつらは、どうした?」
一瞬の間の後…
「――っ!」
可那子は、がば、と体を起こした。
そして、
「きゃ…っ」
慌てて着替えを取りに行こうとしてシーツに絡まり、ベッドから落ちそうになる。
「落ち着け」
「…ごめん」
呆れ声のグリムジョーに抱き止められ小さく謝る可那子は、
「それに…迎えに行くつもりか?」
というグリムジョーの言葉にびくっと体を震わせた。
「いや…わりい、そういう意味じゃねえ」
抱き止めた可那子の体をそのまま抱き寄せながら、グリムジョーは静かに言う。
「少し落ち着けってことだ」
「……あ…」
グリムジョーの胸にもたれて瞳を閉じると、こちらに向かって来る霊圧が三つ感じられた。
それは、桜介と蘭丸…そしてリリネットのものだった。
扉を開けると、小さな影が二つ飛び込んで来た。
その二つの影は、可那子のスカートにぎゅっとしがみつく。
可那子はふたりの頭をそっとなでると、
「ごめんね、わざわざ送ってもらっちゃって…」
と、所在無げに立ちすくむリリネットに向き合った。
するとリリネットは
「ごめん…」
と、可那子の視線から逃れるように俯きながら、消え入りそうな声で言った。
「そんな、リリネットちゃんは…」
「全くだ。どのツラ下げて来やがった」
可那子の後ろからグリムジョーがリリネットを威嚇するが、
「やめてグリムジョー、リリネットちゃんは悪くない」
可那子はリリネットを背に庇い、グリムジョーを制止する。
「ごめん…!」
リリネットは可那子の背中に抱きついた。
その声は、涙声になっていた。
「スタークは、あたしが、殴っといた…二度と、あんなこと…っ!」
嗚咽交じりのリリネットの声に、桜介と蘭丸も心配そうにリリネットを見上げる。
可那子はリリネットの腕をほどいて振り返り、リリネットと向き合えるように床に膝をつく。
「…ありがと。でもしばらくは遊びには行けないから…ふたりに会いに来てくれる?」
にこりと笑いリリネットの涙を拭ってやりながら言うと、その瞳からはますます大粒の涙がこぼれ落ちた…。