護りたいと思うこと
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あいつとの――可那子との出会いは偶然だった。
足を挫いて歩けなくなっていた可那子を家まで送り届けた。
ただ、それだけだった。
その時は、この出会いが俺が十一番隊にいる意味すら失わせることになるかもしれねえ、なんて当然夢にも思ってなかったさ。
その時のことがきっかけで頼まれた、可那子の用心棒。
んなめんどくせえことできるかと突っぱねてしまえなかったのは、可那子の家が一番隊の茶会に仕出ししている老舗の茶屋で、用心棒の依頼が山本総隊長を通されたものだったからだ。
可那子が外出する時だけでいいってことで頻度は高くなかったが、初めはマジ面倒で仕方なかった。
それが態度に出ていたんだろう、可那子はいつでも恐縮しまくりで、とにかく早く用事を済ませることに必死になっていた。
おまけに用事がない時は決して外に出ようとはせず、それについてはさすがに俺も気になって、
「用がなくても遊びに出かけたりはしねえのか?」
そんなことをなんとなく訊いてみた。
すると可那子は
「そんなこと、できるはずないじゃないですか…」
それだけ答え、それっきり黙ってしまった。
その後くらいからか、出かける回数自体が月に1度か2度くらいに減ってきた。
用事がないのか、出かけることを避けているのか。
もしくは…俺を?
「よかったじゃないか、一角。面倒だって嫌がってたろ?」
「ああ、まあな…」
鏡に向かい髪の手入れをしながら言う弓親に答えながら、俺は内心驚いていた。
いつの間にか俺は――可那子が出かけるのを心待ちにしていた?
それは、いつから…?
そう考えた時すぐに思い浮かんだのは、あいつの笑顔だった。
俺に向けてじゃない。
足元に擦り寄ってきた子猫を抱き上げた時、そいつに向けられた笑顔。
そんな顔もできるんじゃねえか、と言いかけた時、その表情はすでにいつもの緊張した面持ちに戻っていた。
俺にも見せてくれ――…
…ああ、そう思ったのが始まりだったか。
だがその時俺は、自分の中に生まれたその感情に気付かないふりをした。
1/2ページ