欲しいものはひとつだけ
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11月8日。
非番の可那子は、同じく非番で恋人の一角の部屋に遊びに来ていた。
付き合い始めてからもうかなり長いふたり。
可那子は毎年、一角の誕生日には欠かさずプレゼントを渡しお祝いしてきた。
しかしだいぶネタも尽きてきたため、数年前と同じプレゼントになったりすることも増えてきた。
どのプレゼントも一角は喜んで受け取ってくれていたが、ふと思い立った可那子は今年初めて本人に聞いてみることにしたのだった。
「ね、明日は誕生日だね。何か欲しいもの、ある?」
斬魄刀の手入れをしている一角の顔を覗きこむ。
「…初めてだな、そうやって聞かれるの」
手を止めた一角が珍しそうに言う。
「うん、いつも私が選んだものをあげてたけど…一角のほんとに欲しいものとか、聞いたことなかったなって思ってさ」
一角はにこりと笑って答えた可那子の顔をしばらく見つめていたかと思うと、ぐいっとその体を抱き寄せ唇を奪う。
「ちょ…一角っ、んぅ、ん…っ」
突然の行為に驚きながらも、可那子はそれに応えた。
激しく舌を絡め合い、深く深く口づける。
しかし一角の手が可那子の死覇装に滑りこんだ時、
「待って、質問の答え…や、あんっ」
可那子は軽い抵抗を見せた。
「…いいから黙ってろ。答えは後だ」
そんな可那子に対し、一角は動きを止めず強引に帯をほどき死覇装を剥ぎ取る。
でも、可那子が本当に嫌がる時は決して無理強いしない。
その表情や反応を見ながら緩急を付け、時には激しく可那子を限界まで昂めていく。
そのくせ抱きしめるだけの時は、壊れ物を抱くように優しいのだった。
いつものように抱かれいつものように裸で抱き合っていると、あっという間に日付が変わり誕生日の当日になってしまう。
「んー…こんな予定じゃなかったんだけどな」
苦笑いしながら体を起こした可那子は、つられて体を起こした一角の頬に軽く口づけ
「でもとにかく、誕生日おめでと」
と、にこりと笑う。
「おう、サンキュー」
一角もいつものように可那子を抱きしめた。
「じゃあ、答えを聞かせてくれる?」
すると、その腕の中から顔を上げた可那子が尋ねた。
「んなもん初めっからひとつしかねえよ」
言いながら一角は、可那子の視線から逃れるように可那子の頭を自分の胸に抱き寄せる。
「おまえだ、可那子。死ぬ時はあの人の下でと決めちゃいるが、お前のためでも俺は死ねると思ってんだぜ…ってくそ、何言ってんだ俺は」
照れ隠しのためか、一角は顔を逸らし可那子の体を自分から離そうとする。
しかしその前に可那子の腕が一角の背中に回されていたためふたりは必然的に向かい合う形になり、一角は照れくさそうな表情、可那子は嬉しそうな表情でお互いを見つめ合う。
「ありがと一角、嬉しい。でも、私のために死ねるなら、私と一緒に生きよう」
可那子はそう言って笑み、一角の首に腕を回す。
そしてその耳もとで小さく囁いた。
「愛してる、一角…今までも、これからも…」
可那子の体を愛おしそうに優しく抱きしめた一角もまた囁く。
「――ああ、俺もだ」
ふたりは唯一無二の愛しい存在を、お互いの心に感じていた。
きっと最後の日までこの心離れることはないという、誓いにも似た想いと共に。
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