素直になってみれば
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「現世駐在…ですか」
護廷十三隊九番隊副隊長・檜佐木修兵に呼び出された同隊七席の可那子は、執務室で現世駐在の任務を言い渡された。
「そうだ。最近、現世に
「分かりました。期間は…」
初めての任務に、可那子は緊張した表情を浮かべていた。
「三ヶ月だ。急だが出発は明日。昼から休みをやるから、準備してくれ」
「はい」
ぺこりと頭を下げ執務室を出ようとする可那子を、
「あ、それから」
修兵は何かを思い出したように呼び止めた。
「悪いが、義骸を頼む時俺の分も一緒に頼んでおいてくれ。後、義魂丸も忘れるな」
「…え?」
振り返った可那子が、確認するように問い返す。
「副隊長も一緒なんですか?」
「ああ、ことがことだけにな。気ままな出張にならなくて悪いが…」
修兵はそんな可那子に申し訳なさそうに言うが、
「とんでもないです!初めての現世駐在ですし、副隊長がいて下されば心強いです!」
可那子は修兵にもう一度ぺこりと頭を下げると、その足で技術開発局に向かった。
「阿近さぁんっ!」
技術開発局にやって来た可那子は、阿近のいるラボに飛び込んだ。
「可那子…お前はもうちょい静かに入って来れねぇのか」
阿近がキーボードを叩く手を止めて振り返る。
「聞いて!あたしね、檜佐木副隊長と一緒に現世駐在行くことになったの!」
そんなお小言はいつものようにスルーの可那子は、阿近に向かって嬉しそうに報告をした。
それを聞いた阿近も、
「ほう。それは良かったじゃねぇか」
にやりと笑いながら答える。
可那子が修兵に恋をしてからもう随分経つが、その間ずっと話を聞いてくれたのが阿近だった。
同技術開発局の壷府リンと幼なじみの可那子は、リンの元へよく遊びに来ていて、そこで阿近とも知り合った。
修兵への気持ちを意識したと同時に修兵についての噂を聞いてしまい、落ち込んでいた可那子を阿近が元気づけてくれたのがきっかけだった。
「でね、お願いがあるの」
可那子は、阿近に一つ頼み事をした。
その頼み事に対し阿近は、
「お安い御用」
またもにやりと笑う。
「ありがと、阿近さんっ」
「じゃあ後で義魂丸と一緒に届けるからよ」
嬉しそうな可那子に阿近がそう言うと、
「うん、よろしく!あたし、これからまだ準備しなきゃいけないことあるから行くね」
可那子はここに来た時と同じように元気よく駆け出して行く。
「…可那子ってば、ほんと一途ですよね…あの噂だって、知ってるくせに…」
可那子の背中を見送りながら、それまで黙ってふたりのやり取りを見ていたリンが口を開いた。
「それを言ってやるなよ。これはあいつの気持ちだからな。この先どんな結果になっても、俺らは見守ってやるしかないんだ」
リンの言葉に阿近は、どこか切なげな笑みを浮かべた。
『お前の気持ちは、相手が自分を好きじゃなければ諦められる程度のもんなのか?』
阿近が可那子に言った言葉。
『檜佐木副隊長は、十番隊の松本副隊長が好き』
そんな噂を耳にしてそれでも一途に修兵だけを想い続けていられるのは、可那子の中にこの言葉が強く根付いているからだった。
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