大切だからこそ
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護廷十三隊三番隊第三席・蔵本可那子は、今日も三番隊副隊長・吉良イヅルの補佐として隊務に励んでいる。
隊長不在の今、隊長代行のイヅルはとても忙しい。
「…ふぅ」
半日ほど瀞霊廷内を飛び回り、ようやく三番隊詰所に戻ってきたイヅルは、執務室のソファに深く腰掛けた。
「お帰りっイヅル!」
それを見計らって、可那子が背後から飛び付き、イヅルの首に腕をまわす。
「うわ…っ!蔵本くんっ!?」
「もう…可那子って呼んでほしいのに…」
イヅルの反応に、可那子は頬をふくらませた。
ほんの数日前、可那子とイヅルは恋人同士になった。
可那子はずっとイヅルが好きで、第三席に任命された時は、今までよりもっとイヅルの近くにいられることに喜んだものだった。
そんな時に起こった藍染の反乱。
三番隊隊長であった市丸ギンも藍染と共に尸魂界の敵となり…その時のイヅルの落胆ぶりは見ていられなかった。
それでも日々の仕事がなくなるわけではなく、可那子はイヅルの分までと寝る間も惜しんで隊務をこなした。
大好きなイヅルに早く立ち直ってほしくて可那子は日々働いたが、なかなかイヅルは元気を取り戻してくれない。
「副隊長、この案件なんですけど…」
その日も可那子は分厚い書類を手に瀞霊廷内をかけ回っていた。
「ああ、君に任せるよ」
しかし、イヅルは相変わらずの態度。
「副隊長~、そろそろ元気出して下さいよぉ」
困ったように訴える可那子に対し、イヅルはますますいじけたような口調で呟いた。
「元気なんて出ない、もうほんと自信なくなっちゃったよ…。市丸隊長には裏切られるし、僕は副隊長だってのに…君の方がよっぽどしっかりしてて…」
「しっかりしてください!吉良副隊長っ!」
その物言いについ可那子は声を荒げ、
「隊長がいなくても、三番隊には三番隊の仕事があるんです!確かに隊長がいなくなってすぐはガタガタだったけど、今はもう隊長がいなくたって三番隊はちゃんと動いてる。…分かりませんか?今の三番隊は吉良副隊長の色になろうとして皆頑張っているんです。副隊長がしっかりしてくれなくてどうするんですか!」
一気にまくし立てた。
「三番隊の為とはいえ…どうしてそこまで…」
その剣幕に驚いたイヅルの口からは、疑問の言葉がこぼれる。
「そんなの決まってるじゃないですか、吉良副隊長が好きだからです…って、こんな場面で告白する気はなかったんですけどね」
そのイヅルの疑問に可那子はためらいなく答え、少し照れたように笑った後、
「でも申し訳ありません。無礼なことを申し上げました」
ぺこりと頭を下げる。
「…かなわないな、君には」
小さく息を吐き出してイヅルは立ち上がり、
「そんな大事なことも先に言われちゃうなんてね」
言いながら、可那子に歩み寄る。
「副隊長…」
可那子は正面に立ったイヅルをまっすぐに見上げた。
その可那子のまなざしを受け
「うん、分かったよ。やっぱり僕には君が必要だ」
納得したように言いながらイヅルもまっすぐに可那子を見つめる。
そして続けた。
「三番隊は、僕が支える。君は、僕を…いち個人としての僕も含めて…支えてくれないかな?」
顔を赤くするイヅルに対し可那子は、
「それって副隊長もあたしのことを好きってことですか?」
ストレートに聞き返す。
「…うん、そういうことに…」
ますます顔を赤くするイヅル。
照れ屋のイヅルらしい微妙に分かりづらい告白ではあったが、
「はい!そういうことでしたら、喜んで!」
嬉しくなった可那子は、持ち前の元気いっぱいに返事をした。
――それが、二人の馴れ初め。
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