嘘
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結局はっきりした結論なんて出せないまま、出張を終えて穿界門をくぐり尸魂界に戻る。
「…可那子」
「恋次…」
そこで私を待っていたのは、恋次だった。
わざわざ迎えに来てくれたの?
…なんて、心のどこかで喜んでるあたしがいる。
でも、ますます恋次が分からなくなる。
どうしてここにいるの?
何を考えているの?
あたしは恋次が何か言う前に自分から切り出した。
「別れよう、恋次」
「何…言ってんだ」
恋次が愕然とした表情であたしを見る。
あたしはそんな恋次から目を逸らした。
「何に怒ってるのか教えてくれよ…」
「…ほんとに分かんないの?」
問い返したあたしに恋次はすまない、と本当に申し訳なさそうに謝った。
あたしは小さなため息と共に言葉を吐き出す。
「恋次は、あたしに嘘をついた」
「嘘…?」
「ルキアには何もあげないって言ったよね?もちろん、あげたこと自体に怒ってるんじゃないよ?」
「っ!なんで知って…あ、いや」
やっと事態を把握した恋次に焦りの表情が浮かぶ。
「恋次はあたしとの唯一の約束を破ったの。だからあたしも恋次を疑っちゃった…自分を信用してくれない彼女なんて、彼女失格でしょ?」
「俺を?」
「うん。ルキアに聞いたの。恋次に何もらったのって。…ルキアにも嘘つかれちゃったけどね…」
だから、と言いかけたあたしの言葉を遮るように恋次が口を開いた。
「違う!いや、嘘をついたことは違わねえが…お前と同じものが欲しいって言われたんだよ」
「…どういうこと?」
「俺、お前の誕生日にお前が欲しがってた鼈甲の簪を贈るつもりだったんだ。それでルキアに朽木家懇意の職人を紹介してもらったんだが、そしたらルキアが誕生日に鼈甲の櫛を欲しいって。可那子とお揃いだからってな」
「ルキアが…?」
「ああ、だから条件として可那子の誕生日までは内緒にしとけって…そうしないとお前にばれるだろ?サプライズの予定だったからな」
「そんな…」
今度はあたしが愕然とする番だった。
「やだ、あたし何やってんだろ…」
恋次のこと疑って、勝手に不安になって…自分の馬鹿さ加減に呆れる。
だけど恋次は、いや、と首を振った。
「それだけ俺のこと考えてくれてたんだろ?だけど、ほんと悪かった…お前の誕生日までルキアにも渡さなきゃよかったんだ。俺が軽率だった…ごめんな」
真剣な瞳があたしを射抜く。
ああ、あたしやっぱり恋次が好き。
恋次は誰にも渡せない。
…渡さない。
そんなことを思っていたあたしは、いつの間にか恋次の腕の中にいた。
「部屋…来るだろ?もう限界だ」
恋次があたしの耳もとで苦しげに呟く。
あたしは、恋次の死覇装をきゅっと掴んだ。
「大好きだよ、恋次」
「可那子…」
「だから、今はルキアのとこ行って謝ってくる。その前に隊長へ報告もね。用事を全部済ませたら恋次のとこに戻るから。だから…待ってて」
恋次を見上げて言う。
「お、おう」
照れたように返事をする恋次をおいて、あたしは駆け出した――。
→おまけ。